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ケアマネジャーの実践に活かすヒント集

 本連載は、2007年に『ケアマネジメント実践ノート』として連載した内容をリニューアルして再掲するものです。あれから15年がたち私たちの実践には、変わったこともあれば、変わらずに大事なこともあります。
 コロナ禍もあって、大変さが増すばかりのケアマネジャーの仕事ですが、大変さ以上の魅力がつまった仕事でもあります。「難しい……」を少しでも「面白い!」に変えていけるヒントをお伝えしていきたいと思いますので、最後までお付き合いくださいませ。


第16回 ケアマネ実践のヒント(7) 支援のゴールはどこだろう

吉田光子

郡山ソーシャルワーカーズオフィス代表。ソーシャルワーカーとして病院、特養、老健、在宅介護支援センター、居宅介護支援事業所等に勤務した後、独立。個人・グループに対するスーパービジョンや各種研修の講師等を行う。

支援の終わりって?

 居宅介護支援事業所に勤め始めてまだ日の浅いあなた。あなたは、きっと先輩のケースを引き継いで、ケアマネジャーとしての第一歩を踏み出したのではないでしょうか?
 毎月のサービスについてお聞きしても、「前と同じでいいです」と言われてしまうし、更新に伴うサービス計画作成の短期目標に悩んだりしていませんか? また、「ずーっとこんな風にかかわらなくちゃいけないの……」と、これから利用者と一緒に歩む道に不安を感じたりしていませんか? 今回は、おそらくケアマネジャーなら誰しも悩んだことのあるであろう、「支援のゴール」について考えてみたいと思います。
 居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの大きな仕事はケアプランの作成ですよね。新規の利用者や、状態や環境の変化に伴うプランの見直しであれば、目標(ゴール)を意識することができます。しかし安定してくると、ケアマネジャーとして何をすればよいのかわからなくなることもあります。終わりのないことを延々と続けているだけのような気持ちになることもあるでしょう。

3つの支援の形から考える

 支援の形には3つの種類があると考えると、ゴールが見えてくると私は思っています。

  • 1.新たなケアプランを作成し、ともにこれからの生活を再構成していくための支援
     一つ目は、最も分かりやすいケースです。この支援のゴールは、新たな生活がはっきりと見え、そのための道筋を利用者とケアマネジャーが共有できそれが達成できたときです。
  • 2.はっきりとした目標のもとに、安定した生活を送っている利用者への支援
     二つ目は悩みやすいケースといえます。この際に必要なことは、現在の生活に変化が生じていないかについてモニタリングをし、目標が適切であるかを見極めることが重要です。すなわち、こうした支援においては時間的なゴールはなく、常に利用者の生活に注意を払わなければできない支援ともいえます。
     注意とは要するに、その方に起こりそうなことを予測し、あらかじめそうした事態にどう対応するかを考えておくことです。利用者の多くは高齢ですから、ゆっくりとした変化があることを念頭に置きましょう。変化を見逃さないためには、モニタリングの項目を具体的に考え、それを系統立てておくといいでしょう。そして何らかの変化があった際は、すぐに一つ目の支援の形に切り替えていくのです。
     ところで、変化には「悪化」だけではなく「改善」もあります。ケアマネジャーとしては、こうした形でご縁が切れたら最高ですね!
  • 3.寄り添うだけの支援
     例えば介護保険のサービス利用をしていないとか、まだ退院できる状態にないとか、介護保険の利用を拒否しているなどの場合です。こうした方々は、契約が切れていたり契約前ということが多いので、ゴールというよりも、まだスタートを切っていない、と表現したほうが適当かもしれませんね。
    こうしたケースでは、相手にケアマネジャーの存在を忘れられないようにするのがゴールといえます。いざというときに頼ってもらえるように、またその時に慌てないように、自分ができることや、今後起こりそうなことを考えておきましょう。

一つひとつのゴールを大切にする

 ケアマネジャーの支援は利用者の生活に沿って行われていくものですから、最終的な支援のゴールは、その方との別れになるのかもしれません。しかし、その時々に一つひとつにゴール(短期目標)を設定していくことは可能です。
 私たち自身の成長に伴い、見えてくる世界は広がり、支援の質も向上します。ですから、一つ目の支援と二つ目の支援を繰り返すごとに、より具体的で明確なゴールを見つけることができるようになると信じています。

〔吉田光子先生の著作〕

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