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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

同じ景色でも違って見えてくる

 僕が所属する法人は「日本在宅介護協会」という事業者団体に加盟していて、その協会内に「小規模・グループホーム部会」という新しい部会が誕生しました。

 部会の誕生を記念して記念セミナーが開催され(6月30日)、僕もひと講座担当することになり「ケアから生活支援へ ~日本の挑戦~」と題し、グループホームや小規模多機能型居宅介護が誕生した背景について、僕なりの考察を話させていただきました。

 この時期のセミナーですからオンラインとなり、Web形式で一方的に講義をするというのは通常ならお引き受けしないところですが、大事な取り組みにご指名をいただいたのですから力を尽くすしかありません。
 苦手な資料をつくり、資料に沿って話をする。つまり台本に沿って話す「今までやったことのない講義」を超苦手なWebで行うのですから、当日はリハーサル前から本番終了まで緊張しまくりました。
 受講者には申し訳ないことをしましたが、生と違って目の前に肌色・温もりがないのでホントやりにくかったですし、言葉が全く出てこなかったです。

 内容は、僕がこの業界に入った34年前の前から認知症の状態にある方々が置かれてきた状況を写真家として記録し、写真集を出版(廃刊)された田邊順一さんからお借りしている写真を数点ご紹介し、そこにグループホームや小規模多機能型居宅介護事業が誕生してきた背景・日本の認知症の状態にある方への支援史から話をスタートさせました。

 受講者は定員いっぱいの100名だったようですが、その講義を聞いてくださった方からステキなメールをいただきましたので、ご本人の許可を得て掲載させていただきます。

和田さんへ

 改めて「人として当たり前の生きる姿を追求する」ということの
原点に気づかされた、立ち返ったような気がしています。

 写真を見て、20年前に社会福祉士受験資格取得のために、4週間特別養護老人ホームに実習に行った時のことを、また鮮明に思い出しました。
 当時は「施錠」「ベッドへ手足を縛る」「つなぎ服」が当たり前で、全て「実習生が先輩について行うこと」として、教わった記憶があります。

 実習最初の1週間、配属された「認知症棟」(当時は「痴呆棟」と呼んでいました)の居室で入居者さんと話し込んでいたら外から鍵をかけられ出られなくなったことがあり、「実習生がいなくなった」と騒動になったことがありました。

 慌てて施錠された扉を開けようと必死になっている自分の姿を見て、認知症の入居者さんが一言「そこは鍵がかかっているから、出られないんだよ」と教えてくれました。

 ここにいる認知症の方達は「自分が『閉じ込められている』ことを知っているんだ」と思うととても悲しくなり、大泣きしているところを施設の職員さんに発見されました…。

 事あるごとに、ここの実習でのいろいろな出来事が頭に浮かびます。私がこの仕事をしていく上での「原点」になっているんだろうな、といつも思います。
 あの時の「実習ノート」は貴重なもので、仕事に就いてからも何回か読み返したことがあります。

 僕も話の中で言いましたが、僕の先輩たちが言わば「人を人とも思わない」「支援ではなく扱いになっている」ことを見聞きできたからこそ「何とかしたい」と思えて実践してきて今があるわけで、それが僕のエンジンなのですが、皆さんそれぞれに「この仕事における動機づけがある」ことでしょう。
 今だけに目を向けることなく「史」に目を向け、過去から今を計ることで、自分の介護という仕事への動機づけを確認しながら歩んでいければ又、目の前の景色が違って見えてくるのではないでしょうか。

※写真に興味のある方は、『認知症の歴史に学びませんか』著:宮崎和加子、写真:田邊順一(中央法規出版)にたくさん掲載されていますので是非!!!必見です。


追伸

 このブログで何度も僕は「雨男なんてもんじゃない嵐男」と自己紹介していますが、名古屋の自宅から東京に出勤する週に東京に台風がやってくる前情報があり「またか」と思ったら台風はハズレ、ハズレたかと思いきや東京に到着したらものすごい雷雨。
 僕のボスや同僚たちは「和田さんが東京にくるときは天気最悪想定内」で相手にもしてくれなくなり、ちょっぴり寂しくなってきていますが、これが宝くじなら僕は今頃世界の資産家番付者になっていたことでしょう。ずっと大当たりです。

写真

 天からどなたか舞い降りてきたか、どなたかが天へ召されたか、虹って神秘的ですよね。