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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第43回 初回面接でどの程度信頼関係が構築できていたかを振り返る
(2002年8月号(2002年7月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Bさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)

事例の概要

Gさん、70歳、男性
家族構成
 夫婦二人暮らし(妻:66歳)。娘が市内に住んでいる。夫のきょうだいは何人かいるが、まったく付き合いはない。妻には弟と妹が一人ずついるが、遠方に住んでおり、日常の介護力としては期待できない。
経済状態
 夫は無年金(障害基礎年金の申請中)、妻は月7万円の年金。妻の年金で生計を立てている。
概要
 Gさんは平成3年よりアルコール依存症で治療を受け、現在は症状は落ち着いているものの、アルコール依存症にともなう痴呆症状がある。また、歩行も不安定。介護者である妻にはヘルニアがあり、足のしびれや重いものが持てない状態。今後のことを不安に思い、要介護認定の申請を行う。妻には、「自分に何かがあったときのために」と「Gさんが悪くなって寝たきりにでもなったとき」は介護ができないので、施設で預かってほしいとの希望がある。また、Gさんが施設利用時にお金に困らないようにと障害年金の手続きもしている。

紹介経路

 平成13年2月3日、Gさんの妻が保健所に相談。N保健所がさまざまな相談機関の連絡先を教える。そのため、妻が当方に連絡をしてくる。電話は当センターのケアマネジャーが取る。その後、Bソーシャルワーカーが担当になる。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。