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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第38回 神経症的な父、身体障害の母、鬱的な娘の3人家族へのかかわりを考える
(2002年3月号(2002年2月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Fさん(行政保健婦)

提出理由

 これまで、母(Mさん)には役所の保健婦(事例提出者)が、娘(Kさん)には保健所の保健婦が主にかかわってきた。今回、父(S氏)からの依頼で事例提出者が娘にかかわる機会をもった。しかし、自分のかかわり方でよかったのだろうかという反省の気持ちが出てきた。皆さんに検討していただき、これまでの援助の検証と今後のかかわり方を考えてみたい。

プロフィール

 S・81歳、M・74歳、K・47歳
 S氏:数年前に白内障の手術をしたことがある。しかし、身体は健康で、家事と妻(Mさん)の介護をしている。「行動計画通りに事を運ぶ」という生活スタイルをもっている。
 Mさん:平成7年に脳出血(右半身麻痺)。病気のせいなのか、性格なのか、夫にうながされて病院受診と歩行訓練をする以外は、終日椅子に座ってテレビを見ているのみ。訪問すると、いつもへらへらしている。娘のことについてもあまり語らない。要介護2。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。