メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第39回 詐欺にあい、家と土地を失った要介護者への支援を考える
(2002年4月号(2002年3月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Tさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)

事例の概要

Sさん、72歳、男性

  • ・長く農業に従事。付き合いは広く、義理深い。
  • ・7人きょうだいの長男。
  • ・アルコール性肝硬変(平成12年)、アルツハイマー型痴呆(平成12年)
  • ・ADLは自立、食事も好きなときに出前などを自分でとり食べている。酒はほぼ1日中飲んでいる。
  • ・10年ほど前に、町の健康診査で肝機能障害といわれ近所の病院に受診するが、通院は続かなかった。
  • ・12年11月頃からふらつき、食欲不振。
  • ・保健婦(現保健師)や、民生委員がかかわっても、「大丈夫だ」といって聞こうとしない。

Mさん、71歳、女性

  • ・農業手伝い
  • ・脳梗塞(平成3年頃)、変形性膝関節症(平成4年頃)、老人性痴呆(平成6年頃)
  • ・自宅内ははって移動する。軽度の痴呆あり。
  •  Sさんにすべてをまかせて生活してきた。
  • ・意思表示は基本的なことのみ可能。週2回のデイサービスを楽しみにしている。
  • ・電話はできない。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。