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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

喫煙継続支援にとどめず生活継続支援まで

 トメさん(仮名:認知症の診断あり)は煙草を吸うのが大の楽しみでしたが、あちこち煙草で焦がしてしまう状態になり、周りは「もう、一人暮らしは難しい。煙草を止められないしね」と、僕のところのグループホームに入居してきました。

 僕のところでは、煙草を自分で持つことはOKにしていますが、火器類は管理させていただいているので、マッチもライターも手元にはなく、吸いたいときに吸えない不自由な生活を強いることになりました。

 そこで管理者は考えました。
 幸い、歩いて行ける距離にファーストフード店があり、そこは(当時)喫煙可能で、しかもマッチをくれるお店です。そこに目をつけました。

 トメさんに「煙草を吸いに行きましょう」とお声掛けし、ファーストフード店へ毎日出かけるようにしました。
 毎日付き添って歩くのですが、徐々にトメさんから離れて歩くようにして、トメさんが自力でお店に着ける・お店から戻ってこれるようになれないか試みます。

 ほぼ自力で往復できるようになったことから、トメさんの関係者とミーティングを行って合意をとりつけ、かつ一筆いただき、職員にも周知して「一人行動」をスタートしました。

 目的は「喫煙」ですから、店員さんにも事情をお伝えし、店員さんからマッチをもらうことも習慣化できましたので、トメさんはお店に着くと「マッチ」と求めることができるようになりました。

 こうしてトメさんのグループホーム生活における「喫煙」での不自由さは解決し、煙草を吸いたくなればお店に行って吸う生活を獲得することができ「めでたしめでたし」だったのですが…。

 その後、何がきっかけだったか憶えていませんが、トメさんのお部屋からお店のマッチを数個見つけてしまい大慌て。
 トメさんが、いただいたマッチを持ち帰ることを想定していなかったってことですが、ここからは「持ち帰る・探して預かる」の闘いでしたね。

 喫煙できれば良いと単純に考えれば、ここまでする必要もありませんが、トメさんに欠かせない喫煙行為を通じて「人と関われるように」とか「社会生活を続けられるように」と考えて手立てを講じることが大事なことではないでしょうか。

 お酒を飲める機会が必要と考えて施設内に居酒屋を開くのではなく、車いす状態になろうが「町の居酒屋に飲みに行けるようにするにはどうすればいいか」を考えて実行できる介護職を一人でも増やしたいと思っています。

写真

 THEもみじ
 この季節、東京から名古屋に戻る高速道は、天気を調べて「晴れ」なら時間を余分に要しても中央道を通ります。その理由は、もちろん「秋美」に触れるため。

 山中に行かなくても標高が高いのでパーキングアリアで十分秋を堪能できますし、富士山、八ヶ岳連峰、南アルプスの山々に囲まれてのドライブは爽快です。
 ガラ系からスマートフォンに替えて写真が美しく撮れるようになりましたが、やっぱりこれは「アナログレンズ」で撮りたかったです。奥行感が出ないですもんね。準備不足でした。
 まぁ、いつも出たとこ勝負で生きていますから、しょうがないですね。
 いよいよ名古屋市内も色づいてきました。お節料理の広告も増え、間もなく師走、2022年最終期です。早いですね。