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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

色づきの秋

 お薬の袋には、朝は「○色」昼は「☆色」というように色がつけられ、間違いが起きにくいように配慮されています。

 ところが同じ薬局を利用している法人でも、A事業所の朝は「○色」なのにB事業所では「◇色」というように、事業所ごとの希望で色を変えていることがあり、薬剤師たちは間違えないように随分と気を使います。

 日本全国どこの薬局でも、信号機が全国どこでも同じなように、朝は「赤色」昼は「黄色」夕は「青色」就寝前は「緑色」というように統一されていれば、薬剤師はもとより、看護職員や介護職員がどこに転職しても、そのことで戸惑うことがなくなるのではないかと思いますし、ヒューマンエラーを起こす確率は下がるはずです。

 なんで、生命にかかわるほど重要なことなのに「そもそも」を同じにしないんでしょうかね。何かのときにその道の方に聞いてみようと思っています。

 僕のところでも、薬局側も事業所側もヒューマンエラーにつながることを解消するために、やっと「色の統一」を図ることになりましたが、気づけていなかったとはいえ、今まで手を付けてこなかった自分が恥ずかしくなりました。

 さて話はゴロっと変わりますが、社会保障審議会で2024年度の介護保険制度改正についての議論が行われています。
 今回の改正は、国民生活に直結する事案が多く懸念しています。「ケアプラン作成の有料化」「要介護1・2の人の訪問介護・通所介護の市区町村が行う総合事業への移行」「介護保険料自己負担の割合を増やす」といったようにです。

 中でも1割の人が2割負担になると、増加額は要介護1で17,000円、要介護3で27,000円、要介護5で37,000円になると報道で見ましたが、事実なら相当強烈で深刻です。

 これは支払う側だけの影響にとどまらず、事業者側も影響大で、何より心配なのは、支援の基本である「必要なことを、必要な時に、必要な分」が後退してしまいかねないことです。
 そもそも介護保険制度は、そのようになっていない中での後退ですから「切り捨て」「大改悪」と唱えている方の評は当たっているといえるでしょう。

 僕も現状を「良し」と思っているわけではなく、「必要でもないことを、必要でもないときに、必要以上に(おせっかい制度)」となっていることなど、介護保険制度経費の増大を是正すべきだと思っていますが、国民の状態・状況に関係なく一律・画一的に影響を与える「利用制限」「2割負担策」は知恵を感じません。

 医療費も含めてですが、そもそも公金投入による公的保険制度がどこまで担うかの議論をするべきではないでしょうか。
見守ることしかできない自分に歯がゆさを感じますが、注視していきたいと思います。共に目を離さず「酷色」にならないようにしましょうね。

写真

 秋の陽気なある日、グループホーム入居者のガンさん(仮名)と理由あって試みの散歩に繰り出しました。
池の端に立ちすくむ鳥さんに目をやると、足元に亀さんがいるじゃないですか(小さくて見にくいかなぁ)。
 いがみ合っている人間社会にくたびれかけの僕にはホッとする光景でした。
 鳥さん亀さんの本当のところは知る由もないですがね。

 亀さんが池に飛び込むと、そこに鴨さんがやってきました。このお三方の関係性も又、知る由もないですが、僕から見てほほえましい光景が続きました。思いもしないことが目に入る外出って「ステキ色」ですよね。