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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

?たまったもんじゃねェ~


00/698→01/703→02/708→03/708→04/708→05/710→06/714→07/719→08/739→09/766→10/791→11/821→12/839→13/850→14/869→15/888→16/907→17/932→18/958→19/985→20/1013

 この数字と矢印を見てわかる方は、かなりの「通」か「お宅」な方ですね。

 これは東京都の最低賃金の推移で、2000年698円が2020年には1013円に至りましたが、そのアップ率は20年で45.13%。ほぼ1.5倍です。
 全国平均最低賃金は654円が901円でアップ率37.77%ですから、東京の凄まじさが見てとれますが、課題はそこではありません。

 労働者の賃金が上昇することは、働く人にとってもこの国にとっても悪い話ではないと思いますが、でも事業者にとっては、この数字と介護報酬がまったく連動していませんから、たまったもんではありません。

 単純に介護報酬収入10000円で人件費比率60%とした場合だと、人件費に要する経費は6000円ですが、10000円の収入は変わらないにもかかわらず、人件費が8647円になったってことです。
 事業者の収入である介護報酬も同じように連動して引き上がっていくのならわかりますがそんなはずもなく、事業運営が厳しきなるのは当たり前。お上による下請け泣かせ状況です。

「それでもバカバカ倒産している状況にないのだからいいじゃないか」と言われる方もいるかと思いますが、もしも介護報酬以外の収入源から人件費をとるようになっていたとしたら、「そもそも」が崩れてしまいます。

 介護保険事業の基本は、「介護報酬以外の利用者負担金で人件費に当たる負担金を徴収してはならない」ですが、介護報酬だけではやっていけなくなり「禁断の手」に手を染めていたとしたら。

 例えば、グループホームの食材料費は「実費相当徴収」となっているので、1日1000円徴収したら900円(90% ※)ほどは利用者のために使うべきと僕は考えていますが、500円しか使わないと入居者一人当たり500円×入居者9人×365日×稼働率95%とした場合で、介護報酬とは別に、材料費の名目で156万円ほどの収入となります。
 1ユニット6人の介護職として、156万円÷12か月÷6人で一人当たり月額20000円ほど賃金として支払えることになりますからね。
 ※関係する各保険者に実費相当とは徴収額の何パーセントを指すかと問い合わせたところ、ある保険者だけが90%と回答くださり、僕の考えている率と同じだったので、その後の運営ではそのようにしています。

 現にある保険者の方は「事業者として工夫するべし」と、この「禁断の手を使っては」と言わんばかりの発言をされた方もいましたが、これでは「そもそも」をぶっ飛ばして筋違いの制度にしてしまいかねません。

 最低賃金の引き上げは国策ですから、国がきちんとそれに連動する仕組みにしないと、公定価格に縛られている介護保険事業者はたまったもんではありませんし、国民にとっては事業者の廃業であれ、別名目での徴収であれ、結果的に迷惑な話ですからね

写真
 これは戦時中の子どものご飯茶碗。
 今では考えられませんが、国民総動員で戦の時代ですから、子どものころから脳への刷り込み策ですね。
 僕の大好きなある古民家宿の主曰く、床下の土の中から出てきた一品だとか。


 上の写真は、小学校で使っていた木刀で、見えにくいですが手で握るところに学校名が入っています。これで戦の練習をさせられていたんでしょうね。
 傍らにある雑誌は「日本少年」という子ども向けの雑誌ですが、中にある広告を見ると、下記のように鉄砲や短刀など戦の道具が載っていました。


 時代の産物といえばそれまでですが、二度と子ども向けの雑誌や子ども茶碗にこのようなコトがないように、きな臭い時代だからこそ大人が踏ん張らんとね。

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