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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

断密


 新型コロナウイルスで注目された言葉に「密」があります。
 密集・密閉・密接の「さん・密」を避けるように叫ばれていますが、人ってそもそも「密」が好きな生き物のように思います。

 ちなみに「密」を使う言葉を探してみると、「密会・密議・密語・密行・密航・密告・密使・密事・密室・密談・密勅・密通・密売・密輸・密猟、密集・密生・密度・密林・疎密・濃密、密画・緊密・厳密・細密・詳密、密封・密閉、密接・密着・親密」がありました。

 そもそも「密」には、「ひそか・人に隠して知られない」「こまかい」「こまやか・行き届いている」「しっかり閉ざされている」「ちかづく・したしい」というような意味があるようですが、どれも通常状態においては人にとって「大事なこと・大切に思うこと・手を出したくなること」が多いのではないでしょうか。

 密航や密告、密売のように危うい意味の言葉にも使いますが、その行為そのものはさておき、嫌いな響きじゃないと思う人は結構いるように思いますし、「ミツ」ってワクワク感さえもたせてくれる言葉のように思うのは僕だけでしょうか。

 密を使った言葉を集めて眺めてすぐに思ったのは「密」って自分一人では成立せず、ほぼ「自分以外の人との関係の中で使う言葉なんだな」ってことで、だから僕にはワクワク感が湧くんだなって思いました。

 そう考えると、人から人に感染する新型コロナウイルスの標的にならないためには、自分以外の人間との関係の中で大事にしてきた「密」や、ワクワク感を抱かせてくれる「密」を断つことが最善策ともいえますが、そもそも「密」が好きな生き物としては、強制力が働かないと止めきれないかもしれませんね。

 でも、密集して生きるアリやハチやイワシなら全滅するような事態でしょうが、人には知恵・対処力がありますから。
 今朝「新型コロナウイルスと治療薬」について調べてみたら、当たり前のことですが医学者・科学者・化学者たちは急ピッチで効果薬を見出そうとしているようで暗闇ではなさそうですね。

 アルマゲドンの映画のように、世界中の人たちが国境を越えて人種を超えて宗派を超えて人類が一丸となってただひたすら願う「治療と予防の策」でしょうが、きっと行き着けることでしょう。いや、いきつけることを願うしかないですね。

写真

 桜の花は人好きで、見上げる人と対面するかのようにみんな人の方を向いて咲きますが、今年は見てくれる人が少なくて寂しがっているのでは。
 僕の自宅に近い山崎川沿いは桜の名所ですが、車道から眺める限り花見の人通りはめちゃくちゃ少ないですものね。
 桜にとってもコロナはテンテキですね。