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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

最後まで尽力

 久し振りに「2023F1日本グランプリ」に行ってきました。

 F1の「F」とは、「車輪とドライバーが剝き出しになっている(フォーミュラー)」という規格のことで、その規格の車のことをフォーミュラーカーと言い、そのレースをフォーミュラーカーレースと呼んでいます。
 国際自動車連盟で定めた最高級クラスがフォーミュラー1、その下に2・3・4とカテゴリーが続いていますから、F1カーレースは世界最高峰の自動車レースと言われています。

 その車を国際自動車連盟発行のスーパーライセンスを持つドライバーが操り順位を競うのですが、F1カーレースは「グランプリ」と呼ばれ、世界20か国で開催されていますから「日本グランプリ」となり、それが鈴鹿サーキットで開催されました。

 ちなみにアメリカでは「オープンホイールカーレースカテゴリ」があって、同じような車で競技しています。有名なレースは「インディ500」で、インディカーとも呼ばれています。

 日本グランプリに行ってきたといっても観戦ではないのですが、F1はとても華やかな別世界で、いつも驚くことばかりです。今年はブルーインパルスの航空ショーも加わりましたので更に派手になるはずだったのですが、僕の感想としてはアナウンスもなく「もったいない出番」になった気がしています。

 この華やかさは、注文をまちがえる料理店で行かせていただいたフランスのカンヌで目にした、ずらっと並ぶ億円単位のクルーザーで連日パーティを開いていたクリエーターの世界祭典「カンヌライオンズ」と同じ色・香・匂を感じました。いわゆる「セレブな感じ」っていうやつです。

 よく知られていることですが、ドライバー他スタッフ用のレストランもシェフ付きで各社準備するんですよ。僕らは入れません。僕らはお弁当。
 ドライバーは会場にヘリコプターで来ますし、専用の車も準備されます。桁違いのお金が動くんでしょうね。
 いちスタッフである裏方さんのドレスコードまでも決められていて、黒系のジャケット・パンツ(スーツ)、白系のシャツ、赤系のネクタイ、黒系の靴。

 最高級クラスとはいえ、所詮は自動車を走らせて順位を決める単なる自動車レースでなんですがされど自動車レースで、ドライバーだけでなく世界中から選りすぐられた技術者たちが「より良く更に良く」を結実させる場であり、コンマ一秒を競い合いますので、その技術は人類の宝物といっても過言ではないでしょう。

 ちなみに僕の友人は、10月末に市販車を使ったワンメークレースで鈴鹿サーキットに挑戦しますが、上り坂でコーナーが連続する「鈴鹿は特別」だって言っていました。レーシングドライバーにとっては、プロであれアマチュアであれ「難しい・ハードルが高い」ってモチベーションなんでしょうね。

 僕にとっての「介護の仕事」も同じで、難しいと思われている、そう言われる状態・状況の方ほど燃えてきますが、別の言い方をすれば「自分を磨いてくれる・高めてくれる」ってことですから。

 F1で感嘆するのは、ドライバー含む「術者」たちは自分たちの結果(成果)をすぐに見て、そこから修正を追求して最後まで全力を尽くすところで、つい自分の仕事に置き換えて考えてしまう僕にとって、ここに来るたびに「最後まで力を尽くしているだろうか僕は!」って自問してしまいます。だから辛い時間でもあります。

 でも、全体としては、別世界ではあれ、超刺激を受ける自動車レースです。また、行けるかなぁ。生きてても行けるかどうかは別問題ですからね。来年は四月です。

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