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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第50回 要介護状態の姑と嫁の関係を円滑に保つ援助とは
(2003年3月号(2003年2月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Eさん(訪問看護ステーション、看護師)

ケースの概要

 クライアントのSさんは平成11年10月、脳梗塞にて右片麻痺、失語症(運動性失語、失書、失読)となった。A病院に治療・リハビリ目的で入院するも、改善せず退院。その後、平成12年11月、自宅での介護困難にてB病院に入院。しかし、介護者である夫ががんで余命数か月とわかり、家族(息子夫婦)は残された時間を夫婦で過ごさせたいと在宅介護を希望し、退院することとなった。平成13年7月に夫は永眠。Sさんはリハビリには消極的で、入院はしたくないと思っている。家族は通所リハビリ、訪問看護などの社会資源を用い、在宅生活を維持させたいと考えている。自宅では、嫁が身の回りの世話をしており、週に数回親類(Sさんの兄姉など)も来て世話をしている。
 嫁は、クライアントが親類に不満を訴えるため、親類から責められる。「私には、何も言ってくれない。どうすればいいのかわからない」と困っている。夫に話を聞いてもらい、協力してもらっている様子はうかがえる。
 Sさんは、現在通所リハビリテーションと訪問看護を利用し、在宅生活を過ごしている。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。