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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第49回 痴呆性高齢者の内的世界をどう理解し、かかわるか
(2003年2月号(2003年1月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Dさん(訪問介護事業所、サービス提供責任者)

事例の概要

クライアント
Kさん、80歳、男性
紹介経路
平成14年5月7日
 訪問看護ステーションのケアマネジャーより電話があり、「家族からの依頼で介護認定の申請中。本人は痴呆があり、食事の用意ができない。風呂のスイッチが複雑で押せないため、なるべく早く介護保険での訪問介護を希望している。家族に連絡してほしい」と住所と電話番号を伝えられた。同日、家族と連絡を取り、当方と契約する意向のあることを確認。まず費用の見積もりを提示した上でサービス利用を検討してもらうことになる。
5月17日
 見積書を持って訪問。契約となる。
5月30日
 ケアマネジャーより要介護2の判定が出たとのことで、個人情報とケアプランが送付される。6月1日よりサービス提供開始。

紹介者からの事前情報

  • ・生活歴:5年ほど前まで農業に従事。現在は無職。
  • ・身体状況・病歴:平成12年胃潰瘍、平成14年4月脳梗塞。
  • ・生活状況:飲酒は週1回程度、たばこ(-)、排便は少しずつ毎日。日中は独居となる。
  • ・認知の状況:鍋を焦がしたことがあり、薬の整理がつかず卓上に散らばっている。
  • ・家族構成:長男(50歳・主介護者)、孫2人(ともに男)が同敷地内別棟に住む。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。