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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第27回 荒っぽい言葉遣いの夫を認め老夫婦二人暮らし家庭を支える
(2001年4月号(2001年3月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Kさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)

事例の概要

  • ・老齢夫婦世帯であり、妻は平成8年3月脳出血にて左上下肢麻痺となり、夫が介護を行い、在宅生活をしている。
  • ・現在は、介護保険でのサービスを受けており(要介護2)、居宅介護サービス計画依頼は当支援センターが受けている。介護保険施行後より週3回の通所介護サービスと週3回の福祉給食(夕食)を利用中である。
  • ・介護者である夫(65歳)にはC型肝炎等の病気があり、平成11年5月頃より入退院を繰り返している。

利用者

O氏(女性)昭和11年生まれ(64歳)
現病歴:高血圧性脳内出血(平成8年3月)
既往歴:昭和49年、胃がんのため胃切除(4分の3)。平成10年10月、自宅トイレで転倒し、臀部打撲し、20日間入院。その後完治。
家族構成
 夫―65歳。同居。
 長男―47歳。行方不明。
 次男―44歳。隣県在住。年2~3回帰省。
 三男―32歳。関東在住。年1~2回帰省。

概要

昭和11年、5人兄弟の次女として生まれる。
昭和28年(17歳) 結婚。
昭和29年(18歳) 長男誕生。
昭和30年(19歳) 夫が肝がんで死亡。このとき、次男がお腹にいた。
昭和31年(20歳) 次男誕生。
昭和42年(32歳) 現夫と知り合い再婚する。
昭和43年(33歳) 三男誕生。前夫の子ども2人を含め、5人家族となる。
昭和45年(35歳) 夫、アルコール依存症にて、肝臓が悪くなり何度か入退院を繰り返すが、入院中も飲酒していた。この頃から宗教に入る。
昭和49年(39歳) 胃がんの手術をする。
平成8年(60歳) 脳出血にて倒れる。このときより、夫は妻に対して責任を感じアルコールを止める。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。