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今月のケアマネジャー

ケアマネジャー

介護専門職の総合情報誌『ケアマネジャー』最新号の内容をご紹介します。

―今からでも間に合う!―
ケアマネ現場におけるBCP作成ガイド

『ケアマネジャー』2023年10月号から、特集(今からでも間に合う! ケアマネ現場におけるBCP作成ガイド)の内容を一部ご紹介いたします。

 2024年4月からBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の作成と、それに基づく研修・訓練の実施が義務化されます。
 本特集では、数多くの介護施設・事業所でBCPのコンサルティングを経験してきた筆者がBCP作成のポイントをわかりやすく解説します。


精神疾患の基礎知識

 まずはこれを押さえる! BCP作成の6か条

(現場の声)

  • ・ケアプランに反映する必要があるのですか?
  • ・緊急時の備えとして必要なことはわかっていますが、後回しにしています……

BCPとは、緊急時の対応などをまとめた計画書です。
ケアマネジメントプロセスに直接影響するものではありませんが、その作成が義務化されます。

来年4月から全介護サービス事業所でBCP作成が義務化される

 BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害や感染症によるパンデミックなどの緊急時に際して、事業の継続や早期復旧を可能とするために、平常時の対応や緊急時の対応などをまとめた計画書のことです。
 令和3(2021)年度介護報酬改定において、すべての介護サービス事業者を対象にBCP作成やそれに基づく研修・訓練の実施が義務づけられました。3年の経過措置が設けられましたが、その期日は来年3月31日までです。
 令和6(2024)年度以降において、BCPが未作成の場合、運営基準違反として運営指導の対象となります。指導を受けても未作成の場合は、行政処分となる可能性があります。

B C P 作成の6 か条

① BCPは“職員第一”で作成する

 職員一人ひとりの安全が確保できなければ、介護サービスを提供することはできません。あるディスカッションで、災害時、医療機関の医師にとって一番大切なのは職員一人ひとりであり、次に医療サービスを提供する組織(現場)、最後が生存者だと耳にしたことが心に残りました。
 自然災害や感染症のクラスターが発生した場合、職員自身の身を守ることを最優先で考えるべきです。
 また、チームプレーである介護サービスは、しっかりと組織としてのマネジメントが機能してこそ、その継続が実現します。

② 個々の利用者に関する対策は盛り込まない

 BCPを作成する際、個々の利用者(特に重度者)の避難方法や利用者のための備蓄品などについて、検討するケースを見かけますが、BCP作成においては不要です。
 BCPの対象範囲は、職員と組織体制の維持です。職員一人ひとりが安全かつ健康であり、組織が機能していれば、利用者へのサービスは継続できるからです。

③ BCPで検討すべきは、「少ないスタッフで、いかに業務を続けるか」

 最大の経営リスクは、職員の多くが出勤できない状況に陥ることです。
 たとえば、感染症の場合、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の濃厚接触者が自宅待機を余儀なくされたように、検査結果が陰性でも出勤を制限されることがあります。また、自然災害では、事業所や利用者と同時に、職員も被災します。
 BCP作成においては、このように出勤できる職員が限られる状況で、どのように役割分担を行い、業務を継続できるかを検討することが必要です。

④ メンタルやストレスケアも重要な課題である

 BCPを検討するうえでは、職員のメンタルケアへの配慮も重要です。
 特にケアマネジャーは、自身も被災した状況で利用者への支援を継続しなければならず、そのストレスは計り知れません。これを放置すると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの状態を招いたり、組織の疲弊・劣化につながります。
 BCPの平常時の対応に、セルフケア研修の定期的な開催などを盛り込みましょう。

⑤ 最悪の状況に陥ることを想定して、危機感をもつ

 令和3年度介護報酬改定で義務化されたBCPは、自然災害と感染症の2つです。いずれを作成する場合も、組織や職員個々人の危機感が問題となります。
 被災経験がある事業所は、経験値があるため、比較的作成は容易でしょう。しかし、大多数の事業所においては、被災経験はないに等しく、適切なBCPをつくることは難しいでしょう。
 危機感をもつためには、インターネット上に公開される事例や、各地で開催されるシンポジウムなどで発信される情報を積極的に職員と共有するとよいでしょう。

⑥ BCPは永遠に完成しない

 厚生労働省からBCPのひな形が出されていますが、そのとおりに記載しなければならないという縛りはありません。必要な項目が最低限記載されてさえいれば、埋めることが難しい項目を後日検討して補足したりしてもよいのです。
 また、研修や訓練で体験してみると、現実とのギャップに気づくこともあります。常にブラッシュアップしていく必要があります。

以降は、本誌(ケアマネジャー2023年10月号)をご覧ください。
執筆:小濱道博
 小濱介護経営事務所 代表

以上は、『ケアマネジャー』2023年10月号の特集の内容の一部です。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

Chapter 1
 まずはこれを押さえる! BCP作成の6か条
Chapter 2
 BCP作成のプロセスを理解しよう
Chapter 3
 記載例で押さえる 自然災害BCP作成のポイント
Chapter 4
 感染症BCP作成における考え方と記載のポイント

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