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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「笑ってる場合ですよ」

 「〇〇さん、転んだら起きてね~」
 「あっはっは! 転んだら起こしてよ~」

 利用者さんがお一人で歩いているとき、すれ違いざまにこんな会話をするだけで、笑いが起きるものです。
 名古屋大学の研究チームが、「日ごろ笑うことがほとんどない高齢者は、要介護状態に至るリスクが高い」と発表しました。笑うことは、要介護状態になるリスクを防げる可能性が示されたということです。
 全国の要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者1万4233人に、笑う頻度を「ほぼ毎日」「週に1~5回程度」「月に1~3回程度」「ほとんど笑わない」の4段階に分類。要介護2以上になった人がそれぞれどれだけいたかを3年間追跡したそうです。
 その結果、「ほとんど笑わない」と答えた人が、「ほぼ毎日笑う」と答えた人より、要介護2になるリスクが1.4倍高かったといいます。

 笑うことが健康を維持することに一役かっているということでしょうか。
 人間の身体は、年齢を重ねるとともに、病気にもかかりやすくなるし、日ごろの疲れも取れにくくなるのは、私たち世代でも感じることです。
 それでも、自分を奮い立たせて仕事に行くのは、家族のため、仲間のため、待っていてくれる人のため…。
 ようは「気力」が大事ということではないでしょうか。
 80歳、90歳を過ぎた方たちの身体は、私たちが想像する以上に衰えているかもしれません。例外はあっても、体力とともに気力も弱くなっていくものではないかと思います。
 まして世の中は、新型コロナウィルスの影響が長期化しています。外出、外食も自由にできない。施設に入居している利用者さんは、ご家族に会うことすらできません。ボランティアさんの出入りもなくなり、活動も少なくなっていませんか。
 このような状況のなかで、健康を維持することも気力を維持することも、難しくなっている気がします。
 いまできることは何でしょう?
 新型コロナウィルス感染防止のために、職員が緊張感をもつことは大事です。でも、笑っちゃいけないなんて誰も言っていない。
 利用者さんに健康でいてもらいたい。長生きしてもらいたい。それが私たち職員の願いなら、笑ってもらおう。一緒に笑おう!
 ソーシャルディスタンスとは、「社会的距離」のことです。心の距離まで離れることはありません。