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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

最強の介護職

 2008(平成20)年に厚生労働省が11月11日を「介護の日」と定めてから、10年が経ちました。世間にはあまり浸透している印象がありませんが、もう少しインパクトのあるイベントができたらいいような気がします。もし、「介護職№1決定戦!」みたいなイベントがあったら、おすすめしたい介護職員がいます。

 わが千歳敬心苑に勤務する介護職員のT君。私は将来介護を受ける立場になったとしたら、彼の介護を受けたいです。
 20年以上も介護に従事しながら、一度も腰を痛めたことのない確かな技術。彼のボディメカニクスを根拠にした身体介護は素晴らしいものがあります。また、介護保険法の目的である「自立支援」を意識した介護を、「忙しい」「時間がない」といわれる特養であっても実践しています。本当のプロほど、基本に忠実なものです。
 そして、私が最も感心するのは、彼の人柄です。誠実さや優しさです。よく悪い意味で「親の顔が見てみたい」という言葉がありますが、私は逆に、どうやって育てたらこんな優しい子が育つのか、「親の顔が見てみたい」です。

 施設には年間通して何十名もの介護実習生が来ます。実習の最終日にアンケートに協力してもらいます。最後に「目標にしたい職員はいましたか?」という設問がありますが、みんなが彼の名前を挙げます。まだ現場に出ていない人、教室で理想だけを教わってきた人たちの目に、その理想を体現しているプロの姿を見せられる職員は少ないです。本当に頼もしく思っています。

 私が最初に勤めた特養で彼に出会ってから、早いもので18年以上が経ちます。その特養で一緒に汗を流し、グループホームの改革についてきてくれ、今の千歳敬心苑にも当時の主任の座を捨ててまでついてきてくれました。
 彼と私の福祉観は、「たとえ今、自分が天国にいたとしても、地獄に苦しんでいる人がいると知ったら、地獄に下りて助けに行く」というものです。
 見果てぬ夢を見続ける私に、常に伴走してくれたT君。懲りない私は、また新たな闘いを求めて旅に出ることでしょう。
 「その時はまた着いて来てくれるかい?」
 私がそう聞くと彼は、「もちろん!山口さんに地獄の果てまでついていきます!」と力強く答えてくれました。

 これからも彼と見果てぬ夢を見続けていこうと思います。