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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

とことん語ろう!

 6月25日、私の勤務する東京都世田谷区において、『世田谷の福祉をとことん語ろう(5)』という会が開かれました。
 これは、住民主体の地域包括ケアを区長の保坂展人さんを交えて話し合う「区と区民の協働」を目指したイベントです。

 5回目を迎えたこの会は、まさに住民主体で始まったものです。それが多くの区民を集めるまでに至り、多くの専門職が集まり、区長も一緒に考える場となりました。
 素晴らしいことだと思います。行政主導ではなく、区民主導で自分たちが住みよい街を創造し、行政がこれをバックアップしていく。これこそが、これからの社会に求められていることではないでしょうか。

 専門職も多岐にわたり、介護職、ケアマネジャー、訪問介護、訪問看護、障害者関係、児童関係など。他職種連携が重要なことは十分理解しつつ、グループワークの中では問題点もあがりました。
 多世代交流として、食堂やカフェが機能している。古希の方達と小学生が野球で対戦する。そのような成功例もあるなかで、障害のある人の居場所がない。子供の見守りネットワークといいながら、「知らない人に挨拶をしない」と子供に言っている親もいたり、個人情報の観点から、名前を覚えられるのが嫌という親もいる。
 そもそも、地域公益事業、地域交流がしたいと思っても、福祉事業は慢性的な人手不足で、それを担う人員が足りない。
 世田谷に限ったことではなく、この国の社会福祉には課題が山積しています。

 それでも、こうして住民と専門職と行政が一体となって地域包括ケアに挑もうとしています。
 この会のコーディネーターをしていたノンフィクションライターの中澤まゆみさんが、「参加なくして変化なし」と言っていました。
 その通りだと思います。ああでもない、こうでもない、と評論家ばかりでは、一歩も前に進めません。
 この日の熱気を持続できれば、みんなが住みよい街、地域包括ケアは夢物語ではないと感じました。
 来年は、介護と医療のW改正が控えています。制度に現場が振り回されるのはもううんざり。現場で力を合わせ、現場が制度を振り回しましょう。

世田谷区の保坂区長とダーッ!

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