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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

夢なき時代と嘆く世に、夢を創れる人となれ

 2015年2月4日、私は上記のタイトルで、このブログをスタートさせていただきました。
 あれから9年が過ぎ、当時グループホームの所長をしていた私は、いま特養等の施設長をしています。10年目に入った今年、今回でこのブログは最終回となります。

 いままでも、好き勝手に書いてきた私ですが、今回は最終回ということで、10年目のご褒美に、また好き勝手書かせてください(笑)
 私と同世代、同じ時代を生きる人たちへのエールとして…。

 世の中は変わりました。この10年の間でも変わったと感じるし、私が社会人になった35年前からも、社会は大きく変わりました。社会はもっと厳しいものでした。学校の先生は偉い人だった。会社の上司は怖い人だった。学校で悪いことをすれば、げんこつをくらった。「ケツバット」なんていうお仕置きもあった。上司に嫌われたらおしまいと思って、嫌いな上司からでも飲みに誘われたら断れなかった。会社では振り落とされないように、必死にしがみつくようにがんばってきた…。
 いまはどうでしょう。こんなことをしていたら、すぐに体罰、ハラスメントだといわれてしまう。もちろん、人間には知恵がある。きっと経験を活かし、正しい社会になってきたのだと思う。そのはずなのに、この言い知れぬ不安な気持ちはなんだろう。昔とは違う国で働いているように感じるこの違和感は、正しくなった社会とのギャップなのだろうか…。

 SNSでの誹謗中傷などに代表されるように、世の中の攻撃性が高くなっている気がしてならない。21世紀の世界で戦争が起きた。新興感染症の不安も尽きない。物価高騰も止まらず、多くの人が不安ななかで生きています。
 夢をもちにくい時代。私たちの若い頃は、まだ情報がなかった。だから、この川の先には何があるのか? そう思って自転車で冒険の旅に出ることもありました。いまはグーグルマップがあれば、川の先に行かなくてもその先に何があるのかがわかります。
 年長者は長く生きているから様々な経験をし、知識をもっていました。しかし、いまはネットにより情報があふれている。ネットを使いこなす若者のほうが知識をもっているかもしれない。ただし、知識と知恵は違う。私たち年長者には、これまで生きてきたなかで得た知恵があるはずです。
 私たち世代が、奮起しないといけない。私たちが子どもの頃には、憧れの存在がたくさんいました。王さん、長嶋さん。猪木さん、馬場さん。俳優、歌手、国民的スターが大勢いました。ブラウン管を通じて、多くの人たちの生きざまを見てきました。身近にいる大人たちも、もっと「大人」でした。大人になったら、こうあらねばならない、という目標を見せてくれました。
 いま、私たちは若者たちの目標になれているでしょうか。生きざまを見せることができているでしょうか。
 夢がもちにくい時代であっても、夢を創れる人になりたい。
 介護を子どもたち、若者たちの憧れの職業に! 私は残りの職業人生を賭けて、それを実現します。
 志ある者が介護や福祉の職業に就き、この国で年を重ね、介護を受けることが不安にならないように。もっとやさしい社会に、もっと思いやりある社会になるように。
 介護を受けるようになった高齢者が、「長生きした甲斐があった」「生まれ変わっても、また日本に生まれたい」そう思ってほしい。それが私の願いです。

 人生は、苦しいことの連続です。私の人生もそうでした。理不尽な人生の綱渡り。
 そんなもんだ、と覚悟するうちに、「どうってことねえよ」が口ぐせになりました。
 「こんな世の中」と嘆いていてもはじまらない。どんなに苦しいことがあっても、がんばろう。生きよう。これが私の最後のメッセージです。

 長い間、私のブログにお付き合いいただき、感謝申し上げます。
 いつかまたどこかで。そのときまで、お元気で。ありがとうございました!

(編集部より)
 本連載は、今回が最終回となります。長きにわたりご愛読いただきまして、ありがとうございました。

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8

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