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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

相反する求め


 業務が忙しくて利用者にかかわれないんです。
 どこの研修会に行っても、こうした言葉を聞く。でも。これってどう考えてもおかしな話である。

 なぜなら、そもそも介護職員の業務は「利用者の生活を支援すること=かかわること」だからだ。
つまり本来なら「業務が忙しすぎてかかわってばかり」や「事務仕事が多くて業務につけない=利用者にかかわれない」となるはずである。

 僕が30年以上も前に特養で勤め始めた頃は、利用者にかかわらない時間のほうが圧倒的に少なかったが、今特養の人たちの話を聞く限り、利用者にかかわるのは「裸」(入浴・排泄)か「口」(食事)に関することで、「談話」とか「ショッピング」といったような、ゆったりとした時間の流れで利用者にかかわる時間は極めて少ないように思える。

 だから、利用者にかかわってはいても「かかわれないんです」となるのだろう。

 僕が関与していた研修会で、ある特養の人たちが「1日1時間、利用者一人に1人の職員を配置して、利用者の個別の願いに応えよう」を実現するために行程の組み替えに挑んだが、1日たった1時間を確保するだけのことなのに、3年の検討を要していた。それぐらい詰まっていたということなのだろう。

 介護保険になってから20年近く経ってきて思うのは、介護職員が利用者にかかわる時間を削らないと、第三者評価や行政指導等で求められることに応えられなくなってきたことだ。

 これは本末転倒なのだが、「利用者へのかかわり」と「利用者へのかかわりを削り取ること」の両方を求めていることに気づいて、介護職員が「必要に応じて利用者にかかわることができるような仕組み」を関係者一同で考えていかないと、ただでさえ「そもそもの人員配置基準が少ない上のこと」だけに、利用者にとって深刻な事態になってきているのだから。

写真

 先日訪れた北海道北見市は、紅葉の真っ最中でした。
 この地は昼と朝夜の寒暖差が大きいようで、とにかく紅葉の「赤」が素晴らしかったです。なかでも写真のように「落葉の絨毯」がステキでした。
 あいにくの天気だったので暗くて僕のガラケー携帯ではこの色合いを表現しきれず、でも皆さんに見ていただきたいので一緒にいた宮崎直人さんにお願いして写真をいただきました。
 雰囲気は伝わるかと思いますが「極楽」を見せていただいた北見市の墓地でした。

合掌


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