メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方

辻川 泰史 (つじかわ やすし)

一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。

プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)

1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66

風林火山

 6月25日は、私が主催するデイサービス研究会を甲府で行いました。甲府にはメンバーである若手女性経営者の(株)Willの内藤社長の事業所があります。内藤社長は27歳で看護師です。あゆみというデイサービスを経営しております。


 研究会の内容は業務日報の構築でした! デイサービスの1日をしっかりと運営していくためには、スタッフのとの情報共有が重要になります。リーダーなどの管理者のみが利用者様の状況や業務の進捗などを把握するだけでなく、スタッフ全般にその日の状態を把握してもらうことが必要です。その情報共有の方法の一つが日報の整備です。メンバーで案を出しあい、日報のフォーマットを作成していくことが決まりました。

 私が介護事業を開始したのが2002(平成14)年9月です。世間はワールドカップで盛り上がっていた時期に起業しました。考えてみると、約14年経ちます。当時は、大変と言っても今ほどは大変ではなかったなと感じます。人材不足、人材の確保は大変ではありましたが、今ほどではありませんでした。

 利用者様の獲得も同様です。2011(平成23)年に、私が行っていたデイサービス開業セミナーの資料の一部です。約10年で、デイサービスは2万事業所以上増加しています。


 データでみるとよくわかります。要は淘汰の時代に突入しているのです。2万事業所増えるということ。単純に10名定員のデイサービスが2万事業所増加した場合、20万人分のデイサービスの枠が広がり、利用者獲得の競争の激化になります。スタッフの確保も同様です。相談員が2万人以上も勤務する選択肢が増えるということです。利用者の獲得と人材の獲得が困難になるのは当然です。

 経営は「人」「もの」「金」と言われています。最初に「人」、そして「もの」-サービス、それを運営していくために必要な「金」―資金、増加する介護事業、そのなかで、自社のサービスを必要とする利用者様へ自社の情報が伝わっていないという現状、同様に自社にマッチングするであろう介護スタッフに自社の方向性が知られていないという現状、同一サービスで、給与や勤務体系の差が出しにくい介護業界では自社に合ったスタッフに知ってもらうことは困難なのかもしれません。

 ただし、それは時間の問題でもあると感じます。ここ2、3年をどう乗り切るか? 介護報酬が下がり、人材の獲得が困難になり、介護は儲かる! という考えで参入してきた企業は撤退していくと思います。介護は想い! というだけで経営の勉強をしない事業所も淘汰されていくかもしれません。

 淘汰の後に新しい市場が生まれるといいます。「あらゆる創造活動は、まず何よりも破壊活動である」とピカソの言葉にあります。

 何を壊すか? どう変化していくか?

 それを模索し志を持って経営をしていく。試行錯誤していく。業界を悲観しない。あきらめない。勉強していく。希望をもっていく。仲間を信じていく。ここ2、3年は自社を自己を見直していき変革していくための土台の時期だと思います。

武田神社に参拝し武田信玄の大切にした言葉を痛感しました

風林火山の意味が参考になります

風:速きこと風の如く。攻めるべき時には風のように早く動く
林:徐(しず)かなること林の如く。機会の来るのを林のように準備を整え待つ
火:侵略すること火の如く。決定し侵攻するときは、火のように進む
山:動かざること山の如く。動くべきでないと決断した時は、山のようにどっしりと自陣を堅守する

【前の記事】

群馬県にて研修

【次の記事】

声の強弱