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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

推察:承認欲求~いいね!の意味するもの

 私たち人間はとかくなにかをやりたいと思う動物のようです。
 できれば自由に思うままにやれればとどれほどいいかと思いながら、コトを始めることが多いものです。
 では、自由を求めて山中で自然派のまま生きている人間がずっと孤独でいることが楽しいでしょうか。
 たしかにそういう人はいるでしょう。

 こんな話を聞いたことがあります。
 とても孤独を好む男が奥深い山に移り住んだといいます。
 そこにふらりと旅人が現れました。するとその世捨て人は、その夜、彼を歓待し、いかに孤独が楽しいか、いかに世俗より高貴な暮らしをしているか、自分は本物に近づいているかと語りつくしたといいます。
「だれかにこの気持ちを聞いてもらいたくてね」
 世捨て人もだれかに認められたいわけです。


 この承認欲求の最たるものと思わせるのが、近ごろちまたではやっているLINEやフェイスブックの「いいね!」マークです。
 何人の人々とつながっているか、これがまず関心ごと。次にそれだけではだめで、自分がアップロードしたことに何人が「いいね!」を押してくているかが大きな関心事になっている人がとても増えています。
 私もフェイスブックをはじめてかれこれ2年以上経過します。
 友達申請をして承認が返ってきたときはうれしかったものです。逆に見も知らない人から友達リクエストがあれば、かならずメッセージを出し、私との関係がわかってから承認を押したものです。
 それからいまではなんと641人(本日段階)となりました。いっときは数を増やすことにちょっと熱を入れました。しかしあまりに多いと誰だか正直わからない。  なのであえて友達リクエストの方のみに今はしています。友達申請するのもちょっと照れくさいですよね。先方が「えっ?と、と、友達・・・」と妙な印象を持たれてしまうのも困ったものですし。われわれ昭和30年代は「友達」という言葉にはことさら思い入れがありますからね。


 さて私の更新はせいぜい週1回程度です。それでも多くのみなさんに「いいね!」を押してもらうこともあります。たしかに快感なんですね、これが・・・(^^;)
 しかし友達でつながっている人がアップデートすると私のスマホにも半ば強制的にその画面が映ることになります。その下の「いいね!」マークはもちろんクリックすることに。
 もちろん、時としてその内容に「いいね!」でない(^^;)こともあります。しかし次の瞬間、「先日、私のFBにいいね!を押してくれたから、ここは押さなくてはマズいでしょ」というお返し気分、おすそ分け気分で押している自分がいます。
 ですから同様に「お返し」「おすそ分け」としてクリックしてくれている人は当然いるだろうと思います。

 手前の話が長くなりました・・・

 どうやら、近ごろの若者、つまり20代はこの「いいね!」という行動が、彼らの承認欲求だけでなく行動の動機づけに「歪み」をもたらしているということがわかってきたようなのです。
 つまり・・・
 なにかコトを起こそうとしたときに、自分は「どうしてもやりたい」という衝動に似たものから行動を起こすのではなく、「いいね!」してもらえるかな、という他者をまずは意識をしてコトを起こすという、発想になってきていると袖川教授(専門:幸福学)は指摘します。


 そしてもっとまずいのは「コトを起こして終わり」なのではなく、「いいね!」の承認をもらって初めて満足感や充足感を得られるというわけなのです。
 かつての消費行動は「欲しい→購入→満足」だったのが、「欲しい→ウケるかな?→購入→アップロード→いいね!多し→満足」となってしまっています。
 まさにこれがテレビの番組づくりにも影響しているとか・・・
 タレントが「隠れ家的店で食べる」光景を見て、自分も足を向けて、その場で食べてFBにアップして、みんなから「いいね!」をもらう。そこではじめて自分の消費行動は正しかったのだと納得できるわけです。

 欲望のダブルチェックでようやく満足ができる・・・

 幸せ感さえ他人に依存してしまうのなら、不幸さえも自分ではわからないでしょう。ポエムのような言葉に励まされただひたすら汗して働く・・・まさにブラック企業が求める人物像のように思えて背筋が凍りつきます。

 今週のメールマガジン「元気いっぱい」第458号(無料)ムロさんの熟慮「感情を先取らない~決めつけられることの気持ち悪さ~」(第1・3木曜日に配信)です。メルマガは随時登録受付中です。⇒ ケアタウンの公式HP
  • 第2期「新・ケアマネジメントの仕事術」東京スクールは6月からスタート!
    ◇シリーズ(1)「ケアマネジャーの仕事力~チームマネジメントとセルフマネジメント~」(定員15名限定)
    |日 時|6月26日(日)10:30~17:00
    |詳 細|http://caretown.com/tokyo/caremanage2806.shtml
  • シリーズ(2)「利用者(家族)との出会いとインテークの勘所~新規ケースと引き継ぎケース~」(定員15名限定)
    |日 時|7月31日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2807.shtml
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。

研修会場・写メ日記

小金井市福祉保健部介護保険課主催
「コミュニケーションの技術~アクターズケア~」

世田谷区福祉人材育成・研修センター主催
「ケアマネジャーに求められるファシリテーション力」