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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

文章は主語と述語が書ければなんとかなる

 先日の日曜日はケアタウン総合研究所の東京スクールでした。これをはじめて早や10年以上となりました。会場は東中野駅そばの東京工科専門学校です。

 今回は「わかる・書ける文章術~実践的書き換えの勘所~」でした。全国から16名の申込みがありました。


「現在、指導する立場でありながら、記録がなかなか書けない。さらに指導したいが説明ができない」(八王子市:R.Mさん)

「書き方について学ぶ機会がなかった。他のCMの記録やケアプランを見る立場でもあるので受講しました」(新潟市:K.Iさん)

「自分の言いたいことをうまく相手に伝えたい。相手に不快感をもたせないような文章を書きたい」(つくばみらい市:M.Iさん)

 みなさん、いろいろな思いと悩みを抱いて参加されています。

 文章の書き方についての研修をはじめて5年が経過します。始めた理由・・・それは「文章の書き方を教えるノウハウを持った人がいない」ことです。

 ちまたの書店には書き方本があふれています。しかし、ケアマネジャーの書く文章はビジネス文書ではありません。もちろん時候の挨拶や手紙文でもありません。

 ケアマネジメントの目的を持った文章であり、給付の根拠となる文章ですから、ビジネス文書の講師ではまず教えられません。


 私が教えようと思った理由は、自分の編集者の経験、ライターの経験、さらに十数冊の本を出版した経験、月刊誌やブログの連載から身につけた独特の「書き方の手法」があるからです。これがもしかしたら役に立つのかな?とある日、思い立ち・・・そして、みなさんに教えることで現場の実践力を伸ばすことができると思ったからでした。

 このテーマでは、まず文章の特徴を解説します。

<ケアプラン>・・・未来形で書く
  • (1)本人(家族)の意向・・・話し言葉を書き言葉にする語り文
  • (2)総合的な援助の方針・・・チームケアの方向性を示す要約文
  • (3)2表(課題・目標・サービス内容、種別)・・・めざす課題、それにいたる目標(目安)、目標のために取り組む内容(段取り)、担当する種別(分担)など

<支援経過記録>・・・過去形で書く
  • (1)観察・状況描写
  • (2)経緯・経過
  • (3)語られる事実・意向・感情の語り
  • (4)根拠、理由、事情
  • (5)考察・推察(推測)

 これらを解説して、「書類や文章の目的ごとに書き分けをしましょう」と話します。

 次に日本語文の特徴と基本構造を話します。受験予備校のようにしてはつまらないので(^_^;)、ケアマネジャーのみなさんが書く実践的な文章を使いながら説明を進めます。

  • ・主語と述語の違い、主語探し、述語探し、述語からの主語探し
  • ・形容詞と副詞の使い分け、言い換え
  • ・接続詞と助詞、接続助詞の使い分け
  • ・6W1H1Rの書き方ポイント
  • ・単文、重文、複文の書き方

 これらの5つが少し理解できるだけで、文章はグッとわかりやすくなります。

 要するに、「主語と述語が書ければなんとかなる」んです。


 写真を貼ったパワーポイントを見せて文章化したり、文章の書き換え作業を体験してもらったり、認知症の方のインタビューを要約してもらったり・・・

 みっちり6時間の研修で、みなさん、それなりの理解と文章力をつけて終えることができました。

「文章を書く時は、単文から文章を作り上げたい。人称代名詞を使わず、固有名詞を使って記録したい」(つくばみらい市:M.Iさん)

「自分は逆接の“が”を使うことが多く、順接の“が”を多く使う人に違和感を感じていたが、その理由がわかりました。自分の文章がくどいのは、単文を押さえずに重文や複文にしてしまっているためだとわかりました」(上越市:M.Yさん 主任ケアマネ)

「WishとResultを心がける。数値化することを忘れない。まずはいろいろと書いてみる」(北区:M.Nさん ケアマネ)

「述語から読み、主語を探すことを学んだ。述語から読み取ることで主語が明確になる」(妙高市:T.Mさん ケアマネ)


 書く力は、書くトレーニングでしか、身につきません。それに「書き換え」ですね。専門用語や漢字用語、形容詞や副詞をいかに正確に言い換えるか・・・

 今回も好評だったので、また次年度に開きたいと思っています。

 次は「話し方トレーニング」です!(^^)!

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