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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

ケアプラン研修

 今週の17日は松山市主催の「ケアプラン研修会」でした。昨年は、相談援助技術とケアプラン点検の2つのテーマで研修を行いました。今年は、もう一歩進んで「本人らしさ」をどうやったらケアプランに反映させることができるかを一日研修を行いました。会場は柱だらけなので、いささかちょっと大変でした(^_^;)


 月刊ケアマネジャーの6月号で「その人らしさ」について「連載:高室流考えるヒント」で取り上げました。「その人らしさ」って、一歩間違うと援助者側の「決めつけ、思い込み」になりやすいと、ひと月前のブログでも書きました。

 そこで、今回は研修会場から実況中継的をしますね。

 とにかく、「何をもってその人らしさをいうのか?」を問いかけます。

「大抵は、本人の性格、趣味などから想像するか、家族から聴き取りをして決めているのが多いのではないでしょうか?考えてみると、これほど曖昧なものはないということに気がつきます。では、みなさん、目の前の人がどのような趣味を持っているのか、見かけで判断して下さい」

 と呼びかけました。ザワザワと話が始まります。近くのケアマネさんに私が質問しました。

「○○さんの趣味は?」「私は読書です」・・・ふつうはこれで終わるものです。

「○○さんは読書が好きなんですね」と・・・。私はさらに「どのよな作家が好きですか?」「宮部みゆきさんです」「推理小説が好きなんですね。では村上春樹は?」「え~、読まないです(キッパリと)」

 「みなさん、どうでしょう?読書でも作家によって好みがあるんです。(みなさんがうなづきます)え~と(43歳くらいの男性ケアマネがいたので)、何が趣味ですか?」「音楽です」「といってもいろいろありますね。詳しくは?」「クラシックからハードロックまで聴きます」「えっハードロックですか?」

 目の前で話す彼の印象から「ハードロック」をイメージする人はいないでしょう。つまり見た目だけで判断できないんですよね、趣味とか楽しみって、と続けます。

 「私が常々話しているのがADL自己流説です。たとえば食事の食べ方、好みの食べ方(例:卵かけご飯)は全員違います。入浴では、好みの湯温(例:熱め、ぬるめ)から洗身の順番、好みの服などは相当に個人差があります。笑い話と思って聞いてください。男性の方のみに尋ねます。トイレのノズルから出てくる洗浄用の水の水圧。好みは、勢いが強い水圧ですか?まろやかなやさしい水圧?、お尻が痛くなるようなガッツな水圧?どれでしょうか?」

 すると男性陣では、ガタイのいい男性がなぜか「柔らかめ」が多く、細身の男性が強めの水圧だったりします。もちろん、それがどうしたという例えですが、ADLはすべて自分流であり、自分の好みがあるということをお話しました。


 今回は、私が親しくさせていただいているYさんにあるケースのケアプランをお願いし、みなさんの見ている前で実際にケアプランを書き換える作業を見てもらおうというパフォーマンス?もしました。

 私がYさんに質問すると、新しい事実や素敵な意向がたくさん出てきて、それを市役所担当の門田さんが入力していく、というもの。文章というのは、ついつい抽象的になるものです。私の質問から繰り出される担当ケアマネジャーのYさんの回答から、もともとのプランがどんどんと「本人らしい」ケアプランに変わっていくのを体験してもらいました。


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 私の研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。