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ケアプランに活かす! 病気と薬の知識

【糖尿病】症状や種類から予後まで、ケアマネが押さえたいポイントを徹底解説! 【医師が監修】

糖尿病の症状や原因、予後など、ケアマネジャーが押さえておきたいポイントを現役の医師が詳しく解説します。

【執筆・監修】

鶴岡浩樹

日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科(専門職大学院)教授
つるかめ診療所副所長
順天堂大学医学部を卒業後、 自治医科大附属病院総合診療部などでの勤務を経て、2007年につるかめ診療所(在宅診療)を開設。2013年より日本社会事業大学専門職大学院教授。

目次

1.糖尿病ってどんな病気?

慢性的に高血糖の状態が続く病気

 糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンという血糖値を低くするホルモンの作用が不足し、慢性的に高血糖の状態が続く病気です。
 Ⅰ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病と大きく2つに分類されます。

●Ⅰ型糖尿病
膵臓の細胞が壊れることが原因の自己免疫性疾患で、若年者に多くみられます。

●Ⅱ型糖尿病
食べすぎや運動不足などの生活習慣が原因で、中高年に多くみられます。日本人の糖尿病の95%がⅡ型です。

2.糖尿病の症状は?

初期症状は少なく、自覚しづらい

 主に以下のような症状がみられますが、初期の段階では自覚症状に乏しいことも少なくありません。また無症状でも、健康診断で発見されることが多くあります。

・喉が渇く
・水をよく飲む
・おしっこが近い
・だるい
・疲れやすい
・体重減少    など

3.糖尿病の予後は?

さまざまな合併症を引き起こす。その予防が鍵

 慢性的な高血糖の状態は、さまざまな合併症を引き起こします。合併症を予防することが糖尿病治療のポイントです

●三大合併症
 糖尿病性網膜症により失明することがあります。また、人工透析の原因として一番多いのは糖尿病性腎症です。

●その他の合併症
・心筋梗塞
・脳梗塞
・感染症
・歯周病
・足の潰瘍や壊疽 など

●糖尿病性昏睡にも注意する

4.糖尿病の治療法は?

食事療法と運動療法が基本

●運動療法
以前:有酸素運動が推奨されてきました。
現在:有酸素運動に加え、筋肉トレーニングなどの無酸素運動も見直されてきました。かかとの上げ下ろし運動でも効果があります。

●血糖コントロール
以前:血糖値を厳格に下げる治療が主流でした。
現在: 低血糖状態が続くと認知症や心疾患を合併することがわかり、緩やかにコントロールするようになりました。

●食事療法
適正カロリーを算出する体重設定が、フレイル予防などの観点から緩くなりました。

●薬物療法
飲み薬はインスリン抵抗性改善系インスリン分泌促進系糖吸収・排泄調節系と大きく3 種類、細かく分類すれば8種類あり、病状に合わせて組み合わせます。
自己注射のインスリンも、1日数回投与から週1回投与までさまざまな種類があります。

5.ケアマネジャーが押さえておきたいポイントは?

日常生活の注意点・観察ポイント日常生活の注意点・観察ポイント

  • ・食事量や体重に注意しましょう。
  • フットケアを心がけましょう。糖尿病性神経障害の方は足の知覚がないため、けがや熱傷を起こしやすいのですが自分で気がつきません。靴下を脱がせて目で確認するよう心がけましょう。
  • シックデイ時は高血糖や低血糖を引き起こしやすいので注意が必要です。シックデイとは、風邪をひいた、熱が出た、吐いた、食欲がないなど体調の悪い日のことです。
  • ・インスリン使用者の場合は、ケアスタッフも含めて針刺し事故に注意しましょう。

医療職に確認しておくこと医療職に確認しておくこと

  • 飲み薬やインスリン
    種類や投与法が多様化しました。食前、食後、1日何回、週何回など投与法を必ず確認しましょう。
  • 低血糖症状への対応
    症状と対処法は利用者それぞれで異なるので、確認しておきましょう。
  • シックデイの対応
    安静、保湿、水分摂取などの一般的なことから、インスリンや飲み薬をどうするかなど、シックデイ時の家庭での対応(シックデイルール)を医療者と決めておきましょう。

使える制度使える制度

  • ・介護保険は第2号被保険者(40歳から64歳)も適用となります。
  • ・視覚障害、透析、足切断の場合……障害者手帳
  • ・外来や入院治療……高額療養費制度
  • ・心身障害者医療費助成
  • ・障害年金

この記事を監修した人

鶴岡浩樹

日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科(専門職大学院)教授
つるかめ診療所副所長
順天堂大学医学部を卒業後、 自治医科大附属病院総合診療部などでの勤務を経て、2007年につるかめ診療所(在宅診療)を開設。2013年より日本社会事業大学専門職大学院教授。

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