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ケアプランに活かす! 病気と薬の知識

【脳梗塞・脳出血】症状や種類から予後まで、ケアマネが押さえたいポイントを徹底解説! 【医師が監修】

【執筆・監修】

鶴岡浩樹

日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究所 教授、つるかめ診療所副所長

目次

1.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)ってどんな病気? 

血管が詰まる“脳梗塞”と、血管が破れる“脳出血”

 脳血管障害とは、脳の血管が詰まったり、破れたりして、脳の働きに障害が起きることをいい、「脳梗塞」は脳の血管が詰まることを、「脳出血」は脳の血管が破れることを指します。
 脳梗塞、脳出血の発症は突然で、命にかかわります。また、治療しても後遺症が残ることがあり、退院時には、医療的ケアも念頭にアセスメントを行う必要があります。

●脳血管障害の種類

脳血管障害 脳梗塞 脳血栓症 動脈硬化が原因で中程度の太さの血管が詰まる
脳塞栓症 心臓から血栓が飛んで太い血管に詰まる
ラクナ梗塞 細い血管が詰まる
脳出血 くも膜下出血 動脈瘤が破れて、軟膜とくも膜の隙間に血が溜まる
脳内出血 脳の血管がもろくなって破れて、脳の実質に血腫ができる
一過性脳虚血発作 症状が24時間以内におさまる
慢性硬膜下血腫 硬膜とくも膜の隙間にじわじわと血が溜まる
脳梗塞
  • アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、ラクナ梗塞の3種類がある。
  • ・脳梗塞は、脳血管障害の75%を占める。
脳出血
くも膜下出血
  • ・くも膜下出血は、脳血管障害の10%を占める。
  • ・脳は内側から軟膜・くも膜・硬膜と三重の膜に覆われている。動脈瘤が破れて、軟膜とくも膜の隙間に血が溜まる状態が、くも膜下出血。
  • ・特に50~70代の女性に多くみられる。
脳内出血
  • ・脳内出血は、長年の高血圧や動脈硬化で、脳内の動脈がもろくなり、破れて出血することが原因。
  • ・流れ出た血液が神経を圧迫して症状を引き起こす。
  • ・頭痛に加えて、片麻痺など脳梗塞に似た症状が出現する。
慢性硬膜下血腫
  • ・高齢者に多くみられる。
  • ・頭を打った直後は異常がみられないが、数か月経過して発症する。

2.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)の症状は?

 脳梗塞・脳出血は、その種類によって症状も異なります。

●脳梗塞
片麻痺、構音障害、意識障害、失語、めまいなど。

●くも膜下出血
激しい頭痛、悪心、嘔吐、意識障害、項部硬直など。

●脳出血
片麻痺、意識障害、構音障害、頭痛、悪心嘔吐など。

●脳梗塞
頭痛、ふらつき、認知症症状など。

3.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)の原因は?

 脳血管障害の原因となりやすいのは、次のような項目です。

・加齢
・男性
・高血圧
・肥満
・脂質異常症
・糖尿病
・心房細動
・寒冷
・高尿酸血症
・喫煙
・大量飲酒

など

4.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)の予後は?

治療がうまくいっても後遺症が残る!?
リハビリは発症から3か月間が鍵!

  • ・脳梗塞、くも膜下出血、脳出血は重度化すると死に至ることがあり、発症早期の治療が大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。
  • ・初期治療がうまくいっても、片麻痺、構音障害、失語、嚥下障害、神経因性膀胱などの後遺症を残すことがある。
  • ・リハビリテーションでは、発症から3か月でどこまで回復するかが在宅生活の目安となる。
  • ・嚥下障害を残す場合、胃ろう造設の選択を迫られる。
  • ・重度で人工呼吸管理となった場合は、気管切開されていることがある。
  • ・高次脳機能障害、血管性認知症などの後遺症もある。後者は受傷から数年後に発症することもある。

5.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)の治療法は?

脳梗塞、くも膜下出血、脳出血、慢性硬膜下血腫の治療法として、以下のようなものがあります。

脳梗塞

  • ・発症4時間30分以内なら静注血栓溶解(rt-PA)療法。それが無効な時は8時間以内に経動脈的脳血栓除去術を行う。
  • ・投薬で脳保護療法、抗浮腫療法、抗血小板療法を行う。

くも膜下出血

  • ・血圧・頭蓋内圧・呼吸など全身管理を行う。
  • ・外科治療は、脳動脈瘤部クリッピング術や瘤内コイル塞栓術を実施する。

脳出血

  • ・頭蓋内圧亢進と脳ヘルニアに対して降圧と抗浮腫療法を行う。
  • ・外科的に開頭もしくは定位的血種除去術を行う。

慢性硬膜下血腫

  • ・外科的に穿頭血腫ドレナージ術を行う。

6.脳梗塞・脳出血(脳血管障害)の治療薬は?

脳梗塞では、血栓の予防薬が用いられます。脳梗塞・脳出血の薬の詳細は、こちらも併せて参照ください。

  • ・高血圧、糖尿病など生活習慣病の薬が基本となる。
  • ・脳梗塞の場合は、血栓予防のために抗血小板療法(バイアスピリン、プラビックスの服用)、抗凝固療法(プラザキサ、ワーファリンの服用)などが開始され在宅に戻る。

7.ケアマネジャーが押さえておきたいポイントは?

日常生活の注意点・観察ポイント日常生活の注意点・観察ポイント

  • ・脳梗塞・脳出血・くも膜下出血は、時間との勝負。訪問時に疑ったら、すぐに医療につなげよう。
  • 認知症を疑ったら、慢性硬膜下血腫の可能性も考える。治療により治ることがある。
  • ・血栓予防のための薬を内服している場合、出血しやすいことに注意する。移動時に身体を家具などにぶつけて皮下出血を起こしたり、歯の治療で血が止まらなくなるなどのリスクがある。
  • ワーファリンは納豆や緑色野菜と合わせると効かなくなるので、食事制限が必要となる。

医療職に確認しておくこと医療職に確認しておくこと

  • ・気管切開、喀痰吸引、尿道留置カテーテル、胃ろうなど、退院時の状態によっては医療的ケアが必要な場合がある。

使える制度使える制度

  • ・介護保険は第2号被保険者(40歳から64歳)も適用。
  • ・障害者手帳
  • ・障害者総合支援法

用語解説用語解説

☑SAH
くも膜下出血の略称。英語だが、日本の医療現場では、慣習的にドイツ語発音で「ザー」と呼ばれる。

☑尿閉
膀胱内に尿が溜まっているのに、排尿できない状態をいう。

この記事を監修した人

鶴岡浩樹(日本社会事業大学専門職大学院福祉マネジメント研究所 教授、つるかめ診療所副所長)

順天堂大学医学部を卒業後、 自治医科大附属病院総合診療部などでの勤務を経て、2007年につるかめ診療所(在宅診療)を開設。2013年より日本社会事業大学専門職大学院教授。

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