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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第22回 こころとからだのしくみ(1)~こころのしくみ~

 こんにちは。今回から、こころとからだのしくみ領域の最後の科目、「こころとからだのしくみ」を勉強しましょう。

こころのしくみ

 例年、「こころとからだのしくみ」では、次のような内容が出題されてきました。自分のこころにも備わっているしくみという点でも、関心をもちながら覚えましょう。なお、本科目では、「発達と老化の理解」で学んだ、老化に伴うこころの変化(本講座第13回参照)についても出題されています。また、こころのしくみについて、「発達と老化の理解」で出題される場合もあります。テキストや過去問解説集で、「発達と老化の理解」と結びつけた学習も心がけましょう。

  • 欲求(動機)について、マズロー(Maslow,A.)は、「生理的欲求→安全欲求→所属と愛情の欲求→承認(自尊と尊敬の)欲求→自己実現欲求」と5段階に階層序列化し、段階的に充足に向けて動機づけ(やる気)がなされていくとした(マズローの欲求階層説)。例えば、所属と愛情の欲求は、好意がある他者との良好な関係などに相当する。なお、自己実現の欲求より下位にある4つの欲求を総称して、「欠乏欲求」という。生理的欲求は、ホメオスタシス(homeostasis:体の中を一定に保って生命を維持するしくみ)の働きによって制御される(第24回、26回、28回、32回に出題。第30回は「発達と老化の理解」で事例問題として出題)。
  • 知能には、経験と知識に結びつく能力である結晶性(言語性)知能と、新しいことを学習したり、新しい場面に適応するときに要求される問題解決能力である流動性(動作性)知能がある(第25回に「発達と老化の理解」で出題)。
  • 記憶は、「情報を入力する(覚える)記銘→記銘した情報を蓄え続ける保持→保持された情報を検索して引き出す想起(再生)」という3つの過程からなる(第27回、30回に出題)。
  • ○記憶の貯蔵庫として、感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つがある。感覚記憶で情報を保持できるのは1、2秒で、記銘、想起を繰り返して(リハーサル)、情報は短期記憶へと移っていく。また、短期記憶で情報を保持できるのは数秒から数十秒であり、リハーサルにより長期記憶に移される。長期記憶は無限容量であり、リハーサルを繰り返すことで、情報を数日、数十年と保持できる。
  • ○長期記憶の一種である手続き記憶は、漢字の書き順や自転車の乗り方など、若いときに繰り返し、体で習得した技術や技能の記憶で、高齢になっても長く保存されていることが多い(第25回に出題)。

 第33回の「発達と老化の理解」では、意欲が低下した高齢者の動機づけに関して出題されました。私たちの受験勉強についても、動機づけを強め、来年1月29日の本番に向けて、リハーサルを繰り返し、必要な知識を一つでも多く、長期記憶にもっていくことが求められているようですね。
 また、次の適応機制もよく出題されるので、押さえておきましょう。


  • 適応とは、個人の欲求が環境と調和し、満足を感じている状態をいう。一方で、人の生活は欲求不満(フラストレーション)や緊張、不快、不安などが伴う。人の心は、それらから自分を守り、心理的に満足、安定を得ようと無意識に解決する方法を備えており、適応機制といい、次のようなものがある(第24回、30回に事例問題として出題。第29回の「発達と老化の理解」でも事例問題として出題。第27回、30回では「障害の理解」で出題)。
    • 抑圧:容認しがたい欲求や感情を、意識しないように抑えつけ、無意識のうちに忘れてしまうようにする。
    • 逃避:空想にふけるなどにより、不安、緊張などから逃げ出そうとする。
    • 退行:甘えるなど、以前の発達段階に逆戻りして、未熟な行動をとる。
    • 代償:本来の目的が得られないとき、獲得しやすい代わりのもので我慢する。
    • 補償:勉強がまったくできない学生が得意な体育で頑張る、身体機能の低下の代わりに認知的な活動での優越感を持つなど、ある一面での劣等感情を、ほかの面での優越感情で補おうとする。
    • 合理化:自分に都合のよい言い訳をして、自分の失敗や欠点を正当化する。
    • 昇華:社会的に承認されない性的な欲求などを、例えば裸婦を絵に書くなど、社会的に認められる形で満たそうとする。また、直ちに実現できない欲求を、価値ある行為に置き換えようとする。
    • 同一化(同一視):コスプレなどにより、満たせない願望を実現している他者と自分とを同一化することで、あたかも自分のことのように代理的に満足する。
    • 投影(投射):自分の容認しがたい欲求や感情を、他者のなかにあると考えて、それを指摘・非難する。

 適応機制は、私たち自身の心においても思いあたるしくみですね。受験に向けてフラストレーションを抱えますが、逃避はほどほどに(?)、学習に努めていきましょう。
 こころのしくみについては他に、震災などの自然災害や虐待などによる強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、突然、原因となった怖い体験が繰り返し思い起こされる、不安や緊張が続く、眠れないなどの症状が出る、心的外傷後ストレス障害(PTSD)について、第28回、33回に出題されました。


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