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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第13回 発達と老化の理解(1)~こころとからだの成長・発達と老化~

 こんにちは。蒸し暑い日が続きます。体調に気をつけてお過ごしください。
 これまで、「人間と社会」領域を学んできました。今回から、「こころとからだのしくみ」領域に入りましょう。まずは、「発達と老化の理解」という科目です。
 皆さんが従事する介護サービスの利用者の多くは、高齢者です。人生の先輩のプライド・尊厳に配慮し、自立支援の視点で、こころとからだの老化や、それに伴う病気・障害の状態に合わせて、介護生活を手助けするうえで必要な知識です。

人間の成長と発達

 まず、人のこころとからだは、成長・発達します。その理論には諸説ありますが、生得(成熟優位)説や経験(環境・学習優位)説、相互作用説、輻輳説について、テキストで確認しておくとよいでしょう。
 発達は、乳幼児期、児童期、青年期、成人期、老年期と、段階を踏んで進んでいくとされています(発達段階説)。第34回では、乳幼児期の言語発達(1歳半ごろに語彙爆発が起きる)について出題されました。
 第28回、29回で出題された、エリクソン(Erikson,E.)の発達段階説は、生涯発達という観点で、心理・社会的側面の発達を、「乳児期、幼児期前期、幼児期後期、児童期、青年期、成年期初期、成年期中期、老年期(成年期後期〔円熟期〕)」の8段階にまとめています。各段階において、達成すべき自我の発達課題というものがあり、老年期の発達課題は、統合感の獲得(自我の統合)です。課題を達成(成功)すると、自我の統合を果たし、英知が身につき、人として総括、達観できる立場になれるが、失敗した場合、絶望が生じるとしています。
 また、第25回では、発達課題という考え方を初めて提唱した、ハヴィガースト(Havighurst,R.J.)について、第27回では、ピアジェ(Piaget,J.)の認知発達段階について、出題されました。過去問解説集で学びましょう。

老化に伴うこころとからだの変化

 自分が「高齢者」であることに気づく個人的な体験を、老性自覚(加齢による心身の変化に対する主観的な自覚)といいます。出現年齢には個人差があり、定年退職などの外的要因、病気による心身機能の低下などの内的要因によりもたらされます(第24回に出題)。
 また、人は年をとればとるほど、喪失体験(老化や病気による身体機能、健康の喪失、定年退職や子どもの自立に伴う役割の喪失、配偶者や友人との死別などによる人間関係、親和感の喪失など)を重ね、不安感、喪失感を増幅させる傾向があります(第25回に事例問題として出題)。第33回では、死別後の悲嘆からの回復には、喪失に対する心理的対処だけでなく生活の立て直しへの対処も必要であると、出題されました。
 老化に伴うこころとからだの変化として、次のような事項をテキストで学習してください。

こころの老化

  • 知能において、流動性知能の低下がみられる(第25回に出題)。
  • 記憶において、感覚記憶、短期記憶が低下する。長期記憶においては、個人の生活の中で生じる出来事や体験に関する記憶(エピソード記憶)が、加齢の影響を強く受ける。一方、からだで覚えた手続き記憶は忘れにくい(第28回、29回に出題。第26回では事例問題として出題)。
  • ○こころの発達により形成された人格(性格、パーソナリティ)の基本的な部分は、加齢により、大きく変化することはないとされる。変化がみられる場合は、脳の病気・障害や、喪失体験などが影響していると考えられる。
  • ○ライチャード(「ライカード」と表記する場合もある。Reichard,S.)は、男性高齢者の人格特性を5つに分類した。「円熟型、安楽椅子(ロッキングチェア)型、防衛(装甲)型」は、社会に適応的であり、「外罰(憤慨)型、内罰(自責)型」は、社会に不適応な人格特性であるとした(第25回に事例問題として出題。第31回では「こころとからだのしくみ」で出題)。

 第32回では、複数のことを同時に行う能力(注意機能)も、加齢によって低下すると出題されました。

からだの老化

  • ○骨量(骨密度)、筋力の低下、筋肉量の減少(第24回、28回に出題)
  • ○細胞の数の減少、萎縮、体液量の減少
  • ○(免疫担当細胞である)T細胞の数の減少と免疫機能の低下(第24回に出題)
  • ○肺活量の低下、咳反射の低下
  • ○視覚、聴覚、味覚、嗅覚などの変化・低下(第25回、30回、31回、33回に出題。第34回の「こころとからだのしくみ」では、老化に伴う視覚機能の変化〔明暗に順応する時間が長くなる〕について出題)
  • ○食事摂取量の減少、嗜好の偏り傾向
  • ○歯の欠損、唾液の分泌量の減少、咀嚼、舌の動き、嚥下能力の低下(第24回に「こころとからだのしくみ」で出題)
  • ○腸の蠕動運動(便を肛門へ押し出す力)の低下
  • ○中途覚醒の増加、睡眠時間の短縮、睡眠周期の不規則(第26回、29回、31回、33回に「こころとからだのしくみ」で出題) など

 第30回では、老化に伴うからだの変化として、貧血になりやすいことが出題されました。第32回では、加齢に伴う嚥下機能の低下の原因に、喉頭挙上の不足があることが出題されました。第34回では、老化に伴う感覚機能の変化として、大きな声で話しかけられても、かえって聞こえにくいことがある、高齢者の睡眠に関して、不眠の原因の1つはメラトニンの減少であると、出題されました。
 この科目の理解を深めるために必要とされる、こころやからだの仕組みそのものについては、後に紹介する、「こころとからだのしくみ」という科目で勉強します。
 また、「発達と老化の理解」は医学系の科目ですが、75歳以上の高齢者を後期高齢者と呼び、後期高齢者医療の被保険者であることや(第26回、33回に出題)、介護が必要となった原因(第26回に出題)、プロダクティブ・エイジング(第27回に出題)、社会情動的選択理論(第28回に出題)、エイジズム(第31回に出題)、我が国の寿命と死因(第34回に出題)など、高齢者に関する知識が広く出題されます。過去問解説集で、確認してみてください。


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