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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第14回 発達と老化の理解(2)~老化とともに発症する病気・障害(その1)~

 前回から、「発達と老化の理解」について勉強しています。
 今回は、老化とともに発症する病気・障害について学びましょう。現場における高齢者の健康とその支援にも、活かしていきたいですね。

老化とともに発症する病気・障害

 国家試験(筆記試験)では、高齢者の病気(疾患)とその症状の全般的な特徴について、よく出題されます。次のような特徴を頭に入れておきましょう(第24回、26回、29回、31回に出題)。

  • ○一人で多くの疾患を有している(多疾患の合併が多い)。
  • ○症状が非定型的(典型的な症状が出にくい)で、明らかには現れにくい(潜在的な臓器障害が多い)。
  • ○個人差が大きく、慢性化することが多い。
  • ○合併症を併発しやすい。
  • ○薬剤の反応が若年者と異なる(薬の副作用が出やすく、複数の薬剤間の相互作用が起こりやすい。また、薬剤の効果が強く出ることがある)。
  • ○予後(先の見通し)が社会、生活環境面に影響されやすい(環境因子の影響を受けやすい)。
  • 寝たきりのきっかけとなることが多く、うつ症状など精神・神経症状を伴うことが多い。

 次に、老化とともに患い、介護の原因ともなる個々の病気の知識を押さえます。さまざまな病気があるため、的を絞りこんだ学習は難しいですが、これまで出題された事柄は、過去問解説集でしっかり習得してください。そして、学生の皆さんは実習先で、社会人の皆さんは日々の仕事を通して、実際に利用者が患っている病気・障害について、あらためて関心をもち、知りましょう。
 また、介護保険制度の第2号被保険者(市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の利用条件である、「特定疾病(老化に伴って発症する16種類の病気)」についても、押さえておくとよいでしょう。
 以下に、出題し得る代表的な病気について記します。テキストなどで、さらに詳しく理解してください。老化や病気・障害の特徴をふまえた介護方法や日常生活上の留意点などについても、あわせて出題されます。社会人の皆さんは、現場での経験とも結びつけながら、正解を導きたいですね。

目、耳に関する病気

  • 白内障:水晶体の白濁が原因。初期に視力低下を自覚しないことが多いが、かすみや羞明(まぶしく感じること)、物が二重・三重に見えるなどの症状がある。
  • 緑内障:眼圧の上昇などが原因となり、視野が狭くなる。進行すると、失明することもある。
  • 老人性難聴:高音域が聞こえにくくなる(第29回に「障害の理解」で出題)。

骨、関節に関する病気

  • 骨粗鬆症:骨量が減少した状態。女性は50歳代から、男性は80歳代から増加。原因には、カルシウムの欠乏、運動不足などがあり、症状は、腰や背部の痛みである。
  • 骨折:大腿骨頸部骨折や橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折は、転倒した時に起こる。脊椎圧迫骨折は、体重の重みや転倒などにより生じ、腰部の激痛で立てなくなることがある(第25回に「こころとからだのしくみ」で出題)。
  • 脊柱管狭窄症:脊柱管が細くなり、神経を圧迫。腰痛や、歩行中に下肢がしびれ、休息すると改善する間欠性跛行が現れる。
  • 変形性膝関節症、変形性股関節症:関節の骨や軟骨がすり減り、関節が変形し、痛みを伴う。膝関節症は、50歳以上の肥満女性に多い(第31回に事例問題として出題)。
  • 関節リウマチ:原因不明の難病で、中年女性の発症が多い。手足の小さい関節から左右対称に、痛みや腫れ、変形、可動域制限が進行する(第29回、31回の「障害の理解」で自助具に関して出題)。

脳、神経に関する病気

  • パーキンソン病:原因不明の進行性の難病。40歳から65歳くらいまでに発症することが多く、手のふるえ(振戦)、筋のこわばり(筋固縮)、動作緩慢という三大症状や、仮面様顔貌(無表情)、前傾姿勢での小きざみ歩行、突進現象(突進歩行)、すくみ足などがみられる(第26回、27回、30回に出題。第26回では「こころとからだのしくみ」、28回、29回、32回、34回では「障害の理解」でも出題)。
  • 脳血管疾患(脳卒中):頭蓋内出血(脳出血、くも膜下出血)、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、一過性脳虚血発作などの総称。片麻痺などの運動麻痺、知覚障害、視野障害、失語、失認、失行などの障害が現れる。
  • 脊髄小脳変性症:原因不明の進行性の難病。歩行のバランスがよくない(失調性歩行)といった運動失調が主な症状である。言語機能障害も起きる(第24回に「こころとからだのしくみ」で出題。第30回では「障害の理解」で出題)。
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS):運動神経の異常により、筋萎縮を起こす進行性の難病。手指など上肢の筋萎縮から始まり、全身に及ぶ。球麻痺といい、発語や嚥下も困難になる。特徴的な障害には、呼吸障害もある。一方、視力や聴力は保たれる(第28回、29回、32回、34回に「障害の理解」で出題)。

 第28回では、脳梗塞右片麻痺の誤嚥性肺炎にかかる事例問題や、変形性膝関節症の高齢者には杖の使用を助言することについて、出題されました。第34回では、高齢者の肺炎に関して、誤嚥による肺炎を起こしやすいことが、出題され、第27回では、誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが有効であることが、出題されました。また、第32回の「こころとからだのしくみ」では、高齢者の大腿骨頸部骨折は、リハビリテーションを早期に開始することが適切と、出題されました。
 老化とともに発症する病気については、次回も続きます。


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