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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第21回 障害の理解(4)~発達障害など~

 今週は、「障害の理解」の最終回です。
 2012(平成24)年4月から障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の対象となり(本講座第10回参照)、近年注目されている、「発達障害」を押さえておきましょう。

発達障害

  • ○発達障害とは、発達障害者支援法により、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」と、規定している。
  • ○全般的な知的機能の発達が遅れ、社会適応面の行動に障害を伴う状態が、18歳以前に現れたものを、知的障害(精神遅滞)というのに対して、以下の発達障害は、全般的な知能発達には障害がみられないことを特徴とする(知的障害を併せ持つ発達障害者はいる)。
  • 自閉症は、社会性の発達の障害、言語の発達やコミュニケーション能力の障害、特定のものに対する強いこだわりや、同じことを繰り返すなどの行動パターンがあり、対人関係の形成に障害がある。アスペルガー症候群は、言語や知能の発達は保たれているが、対人関係障害と情緒障害がみられる。これらを広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)という(第24回、28回、29回、30回、32回に出題。第26回では事例問題として出題)。
  • 限局性学習障害(SLD)は、「読む、書く、話す、聞く、計算する」など、特定の学習能力の一つ、あるいは複数に障害がある状態をいう(第33回に「発達と老化の理解」で出題)。
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、勉強に集中できないなどの不注意(注意力の障害)、じっと座っていられないなどの多動性、順番を待つことができず割り込むなどの衝動性を、基本的な症状とする。
  • ○発達障害の利用者においては、変化に対する不安が強いので、変化はできる限り避け、変化があれば、あらかじめ明示しておく。また、感覚が過敏である場合も多く、それが対人関係を困難にしたり、パニックの原因になったりする場合がある。雑音の多い場所やパニックを起こす場所を避け、パニックを起こさない手立てを考えることも大切である(第25回に出題)。

 第30回では、集中力が乏しいといった注意欠陥・多動性障害の児童に対する支援方法の助言(集中できる環境をつくる)について、出題されました。
 障害には他に、交通事故や脳炎などに伴う脳損傷により、記憶障害(物の置き場所や約束を忘れたり、新しい出来事を覚えていられない)、注意障害(集中力がなく、同時に2つ以上のことに気配りできない)、遂行機能障害(決まった方法にこだわり、状況に応じた判断ができず、日常生活や仕事の内容を計画して実行できない)、社会的行動障害(突然興奮したり、怒り出す。ちょっとしたことで感情を爆発させる)などの症状がみられる高次脳機能障害があり(第24回、25回、27回、28回、30回に出題)、精神障害者保健福祉手帳の対象となっています。


障害受容の過程

 障害の受容とは、自身の障害を、あきらめや開き直りではなく、現実的、客観的に認め、自分の一部として受け容れることをいいます。障害をもつ人の心理を理解するうえで、重要な事柄です。障害受容には過程(プロセス)があり、「ショック期⇔否認期⇔混乱期⇔解決への努力期⇔受容期」の段階を、一進一退しつつ、月日をかけて移行します。例えば、ショック期は、現実を実感することが難しい時期とされます。また、障害の受容に影響する要因として、障害発生年齢、障害前の性格、障害の原因と程度、社会的環境、時間的経過などがあげられます(第29回に出題。第31回では上田敏による障害受容のステージ理論の5つの心理過程として出題。第32回、34回でも事例問題として出題)。
 障害の受容は、家族の立場でも同様の過程をたどります。長い間介護する家族においては、短期入所(ショートステイ)などを利用し、一定期間、介護生活から解放されることで、心身の疲れを回復し一息つくなど、介護を担う家族に休養を提供することを目的とする、レスパイトケアという視点が重要です(第26回に出題。第29回では事例問題として出題)。
 第33回では、発達障害のある子育てについて一人で悩む母親に対して、同じ立場にあるペアレント・メンターを紹介することを適切とする、事例問題が出題されました。第34回では、家族の不安な気持ちに寄り添い、今の課題を一緒に整理し考えていくことを適切とする、事例問題が出題されました。また、第25回では、障害受容の過程にみられる「抑圧(認めたくない欲求、不安や苦痛を意識下にとどめる)」という心理状態について出題されました。抑圧は、「適応機制」という、こころのしくみの一つです。次の科目「こころとからだのしくみ」で、改めて学びましょう。


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