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受験対策講座

保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

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第15回 令和3年・10月試験「教育原理」科目について

藤井秀一(ふじい ひでかず)
近未来教育変革研究所・所長。元私立高校国語科教諭。国家資格キャリアコンサルタント。
認定エグゼクティブ・コーチ。教員研修・PTA研修・学校改革支援などを手掛ける教育アドバイザー。国際ブリッジ学院・校長。

「教育原理」の近年の出題傾向

 この科目の全体的な出題傾向と今回の試験との関連を確認しておきます。

1.教育関連法規

 教育基本法と学校教育法はほぼ毎回出題されており、幼児関連のみならず、小学校に関する条文・記述も要注意であり、関連する条文を収集しておくことを強くお勧めします。
 今回の試験では問1と問2が該当しました。

問1:教育基本法 第10条「家庭教育」
 家庭教育における保護者の責任について説いている内容で、近年の試験で重視されている要素です。
 教育基本法は毎回必ず出題されると考え、特に幼児・児童関連の項目は注意してください。

問2:学校教育法 第31条
 小学校における社会的奉仕体験・自然体験の体験学習に触れており、重視される話題の一つです。
 学校教育法も毎回必ず出題されると考え、特に幼児・児童関連の項目は注意してください。

2.幼稚園教育要領

 幼稚園教育要領では「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の5領域に関する記述と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の内容を把握しておきましょう。
 今回の試験では問3が該当しました。

問3:幼稚園教育要領 第1章「総則」
第1「幼稚園教育の基本」からの出題で、教師と幼児とのかかわりについて触れています。サブタイトルが示すとおり、幼児教育の基本事項ですので十分な理解が求められます。
幼稚園教育要領も毎回必ず出題されると考え、全文を通読しておくことをお勧めします。

3.人物と思想

 教育思想や理論では、人名と著作・理論との記憶が結びついていることが大切。個々の人物に関するキーワード(事績・著作・理論など)は確実に覚えてください。
(例)フレーベル:恩物、キンダーガルテン、『人間の教育』
 今回の試験では問4・問5・問6が該当しました。

問4:西洋の人名と事績
 ロック、コメニウス、フレーベルの事績を問う問題で、定番中の定番となる内容でした。「白紙」や「恩物」といった頻出単語に関する出題はサービス問題とも言えるでしょう。
 他にもルソー、ペスタロッチ、デューイ、キルパトリック、ブルーナー、モンテッソーリ、スキナーなど、保育士国家試験には常連とも言える人物が何人かいます。事績と著作を確認しておきましょう。

問5:近代の日本の幼児教育(人名と事績)
 選択肢の人名は、松野クララ・野口幽香・倉橋惣三・関信三・城戸幡太郎でした。いずれも日本の教育界ではよく知られた人物ですので、事績を理解しておくことが大切です。
 我が国の教育界の宝とも言える方々ですので、親近感を持っていただけたらと思います。

問6:近代の日本の幼児教育(著作と人物)
 選択肢の人名は、小原國芳・羽仁もと子・澤柳政太郎・倉橋惣三・城戸幡太郎でした。著作物からの出題には必ず本文中にヒントがありますので、慌てずに確認しましょう。

 ※今回の試験では、日本に関して近代の問題しか出されませんでしたが、江戸時代も要注意です。特に私塾と学派の出題頻度が高く、そのほかには藩校や寺子屋が出題されることもあります。

4.子どもの人権・権利

 子どもの権利に関連しては条約や宣言などが頻出となっています。特に『児童憲章』・『児童権利宣言』・『児童の権利に関する条約』などは本文に目を通しておくべきです。ユネスコ憲章も出題されており、子どもたちの根源的な人権・権利を理解しておく必要があります。
 令和3年・10月試験では、該当しませんでした。

5.教育行政・教育制度

 我が国の教育行政や教育制度については中央教育審議会の答申がよく作問に利用されています。
文部科学省のウェブサイトで閲覧できますので、幼児関連・児童関連は目を通しておきましょう。幼稚園教育要領・小学校学習指導要領との関連性を意識しながら読むと、理解の度合いが深まります。
 今回の試験では問9・問10が該当し、また、外国の制度が問7で発問されました。

問7:ニュージーランドの就学前教育
平素の学習では気付きにくい分野となるかもしれませんが、慌てずに設問をよく読みましょう。今回は「マオリ」(ニュージーランドの先住民族)の記載があり、これがヒントとなっていました。
 毎回ではありませんが、諸外国の教育制度が出題されることはありますので注意してください。教育施設の名称を知っていると答えやすくなる問題がこれまでは多かったようです。

問9:教育振興基本計画
 第3期「教育振興基本計画」本文から、ESD、キャリア教育、リカレント教育が問われました。前後の文脈から穴埋めできる問題でしたが、そもそもこの単語を知らなければ手が出せません。
 選択肢には、ほかにICT教育、アクティブ・ラーニングという単語も並んでいました。5件とも教育施策においては超重要事項と言えますので、今後も出題が予想されます。

問10:中央教育審議会の答申から
 何度も中央教育審議会の答申や資料が出題され、常連とも言える出題材料となっています。今回は平成17年答申「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」からの出題で、幼稚園教育要領や学習指導要領の改訂・改正にも関連性のある内容です。
 小学校の教育内容との接続改善に触れており、これ以降、現在に至るまで重視されている課題です。幼少接続・幼少連携については、今後もまだまだ出題される可能性が高いと思われます。

6.教育に関連する諸問題

 教育を取り巻く諸問題と教育の機会均等については特別支援教育に関する知識が不可欠です。「特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について(通知)」ほか、文部科学省の通知などをウェブサイトで確認しておきましょう。
ほかにも、いじめ・体罰・生涯学習に関する出題も非常に多く、関連する資料の確認と法改正について確認しておきましょう。また、ESDやSDGsなど教育にかかわる全世界的な取り決めが重視されていますので、国際的な教育トレンドも押さえましょう。
 今回は問8が該当しました。

問8:学校のいじめ防止施策
 平成25年10月の文部科学省資料『学校における「いじめ防止」「早期発見」「いじめに対する措置」のポイント』からの出題で、インターネットを介した子どもたちの間でのトラブルに関する内容でした。
 防止と早期発見はセットで重視されている項目であり、また、措置(対応)も重要な課題です。近年はいじめに関する出題が多く、特別支援施策と合わせ、引き続き要注意分野と言えます。

「教育原理」の受験対策・勉強の進め方

 最後に、次回の試験に向けて、お勧めしておきたい学習ポイントをお伝えしておきます。

  • ☆教材をやたらに買い込まず、学習の手を広げすぎないこと
  • ☆1冊の教材を確実にこなしてから、次の教材に移ること
  • ☆紛らわしい人名・著作・理論などは表を作って整理すると覚えやすい
  • ☆頻出項目は紙に書きだし、机上や壁に掲示すると効果的
  • ☆法改正は格好の試験材料となるので面倒がらずに確認を
  • ☆一問一答問題集を繰り返し、知識の穴を埋めること

 教育の課題には社会の変化やトラブル・事件事故が深くかかわっていることが多いものです。日頃から時事的な話題を収集し、幼児教育に影響を与えそうなニュースを確認しておきましょう。

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