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マナーと接遇に関する疑問

実際にはどうすべき? 介護職のための家族や利用者との関係を崩さずに「頂き物」を断るマナー

 介護施設で仕事をしているとよくあるのが、利用者の家族からの「頂き物」。お菓子などのちょっとしたものから、高価なものまで渡されることがあります。これは、訪問介護のホームヘルパーでもよくあることではないでしょうか。
 しかし、施設であろうが在宅であろうが、頂き物は介護保険法的にも原則お断りするのが望ましいです。
 でも、無理やり断って関係がこじれてしまったなんてケースもあります。
 お互いの関係性を崩さずに頂き物を断るためにはどんなマナーが必要なのか考えてみましょう。

よくある「頂き物」どうすればよいのかな?

 よくあるケースとしては、「受け取れないことになっているから」とかたくなに断ってしまうことです。

 利用者や家族はいつもお世話になっている介護職やホームヘルパーに厚意で用意したわけですから、イラストのようにむげに断ると気分を害してしまう人もいますね。


ただ断るだけではNG!

 このように、「ルールで決まっているから」とただかたくなに断るだけではNGです。どうしてでしょうか?

 利用者や家族の気持ちを汲み取っていない
 利用者の家族は、介護施設へのあいさつや、日ごろの感謝の気持ちを表したくて贈り物をします。ただ断るだけだと、そうした「厚意」までも否定された気持ちになります。気分を害してしまう人がいる原因はこれでしょう。

 上司・先輩に相談していない
 頂き物があったのに上司や先輩に相談せずに断ってしまうと、組織的な対応もできず「この施設(事業所)はお礼もないのか」と思われたり、トラブルになってしまうことがあります。

利用者・家族との関係性を壊さない、頂き物の断り方の3つのポイント

 頂き物、贈り物は、利用者や家族が気分を害するからといって、受け取るわけにもいきません。だからといってかたくなにただ断るだけなのはNGです。では、どうすればお互いの関係性を崩さずに、頂き物を断れるのでしょうか?

 ポイント1 まずは利用者や家族の「気持ち」を受け取る
 最初に対応するときのポイントとして、最初からむげに断るのではなく、「お気遣いありがとうございます。お気持ちはうれしいです」とその厚意を受け取る姿勢が大切です。
 そのあと「ですが、これは受け取れませんので、お気持ちだけ受け取ります」と続けます。一度厚意を受け取った姿勢を示していれば、断りの言葉を言っても「気持ちはわかってくれた」と理解してくれる人は多いでしょう。

 ポイント2 上司、先輩に相談する
 新人や一般職員が対応するのと、上司などの責任者が対応するのとでは利用者や家族の受け止め方が違うことがあります。また、組織的な対応をしたこと自体で納得することも多いです。
 施設など、すぐに上司を呼べる環境であれば「今上司を呼びますので、しばらくお待ちいただけますか」などと伝え、上司に対応してもらうのもよいでしょう。

 ポイント3 法人の方針を明確にして、家族にも事前に伝えておく
 そもそもの話として、頂き物があった時に法人としてどう対応するのかを決めておきましょう。知らない場合は事前に上司に確認しておくこともよいでしょう。
 そのうえで契約段階などで事前に贈り物は頂けない旨を伝えておくと、後々トラブルにならなくて済みます。

頂き物の背景にある「気持ち」を頂くのが正解

 利用者や家族は悪いことをしようとしているのではなく、あくまでも善意で贈り物をしています。ですから、その気持ちを否定されたととらえられかねない言動は控えることが大人のマナーです。
 頂き物の背景にある家族の「気持ち」を頂き、感謝の気持ちを忘れないことが大切です。

本文監修:榊原宏昌

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このページの内容は、榊原宏昌『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶマナーと接遇』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。

著者:榊原宏昌
本のサイズ:A5判、186頁
定価:1800円(税別)

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