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脊髄損傷を受傷して

松尾 清美(まつお きよみ)

年間約5000名の新患者が発生するという脊髄損傷。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。

プロフィール松尾 清美先生(まつお きよみ)

宮崎大学工学部卒業。
大学在学中に交通事故により車いす生活となる。多くの福祉機器メーカーとの研究開発を行うとともに、身体に障害をお持ちの方々の住環境設計と生活行動支援を1600件以上実施。
福祉住環境コーディネーター協会理事、日本障害者スポーツ学会理事、日本リハビリテーション工学協会車いすSIG代表、車いすテニスの先駆者としても有名。

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第61回 「第60回 スキップ開設」の解説

 丸山さんが頸髄を損傷してから、ご夫婦で経験された本人や家族の思いをはじめ、医療や身体機能の考え方、生活支援方法、福祉用具や住環境のあり方、就労環境の整備方法、社会参加方法の体験と、ヘルパーの介助方法や労働条件、介護業務のあり方などの相談を受けたことなどから、高齢者や障害者の在宅での生活の質を改善するため、大学を退職したこともあり、2001年11月に「NPO法人 障害者・高齢者自立支援スキップ」を設立されました。

 その支援活動は、障害者自身が主体であり、障害者を抱える家族にも心身の支援を行うという個性的な地域活動であり、自分の家で暮らせ、普通の生活ができる活動であることなどが、2003年の丸山さんの「地域に根ざすボランティア活動への思い」と題した以下の原稿からわかります。

 「活動開始とともに、利用希望、提供申し出の問い合わせの反応があり、その早さと多さに驚く。市民のボランティア活動への意欲・関心は、決して低くはないと感じた。・・自発的で主体的であれば小さくてもいい、いや小さくて数多くがいい。『小回りのきく』活動ができ、『隅々に行き届いた』サービスができるからだ」

 「普通の生活」とは、どういうものかということも書かれています。

 「午前10時からは、毎日入浴。その後は、ボランティアスタッフが運転してくれる車で、事務所やリハビリに通うという日課が定着しました。夫にとっては、自立した新しい生活が始まったのでした。週2回は、家の清掃もやってもらったので、私にも生活のゆとりが生まれ、絵を描く趣味を再開することができましたし、庭の手入れにも時間を割くことができました。夫に弁当を作って持たせることもできました。/ある年、私は友人とイギリスへの旅をすることができました。夜には息子の力も借りましたが、朝の食事、入浴、昼・夕の食事、車の移送など、スタッフに任せて行って来ることができたのです。夫にも私にも、そして夫と楽しく交流したスキップのスタッフにも嬉しい時間だったと、いまでも懐かしい思い出になっています」

 「自律生活の状況」と「生活のゆとりが得られた」ことが感じられる文章です。また、丸山さんの自律の考え方は、「障害があるから何かをしてほしいと望むだけではなく、障害はあるけれど、自分は何をしたいのか、そのために何をしてもらいたいのかを考えるようになってほしい」というものです。これは、自分の身体を動かせないため、介助者の介助を受けて自律生活を行う重度身体障害者へのメッセージと考えています。

丸山夫妻

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丸山夫妻