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脊髄損傷を受傷して

松尾 清美(まつお きよみ)

年間約5000名の新患者が発生するという脊髄損傷。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。

プロフィール松尾 清美先生(まつお きよみ)

宮崎大学工学部卒業。
大学在学中に交通事故により車いす生活となる。多くの福祉機器メーカーとの研究開発を行うとともに、身体に障害をお持ちの方々の住環境設計と生活行動支援を1600件以上実施。
福祉住環境コーディネーター協会理事、日本障害者スポーツ学会理事、日本リハビリテーション工学協会車いすSIG代表、車いすテニスの先駆者としても有名。

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string(94) "第57回 「第56回 私の人生は、ホップ・ステップ・ジャンプ」の解説"
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第57回 「第56回 私の人生は、ホップ・ステップ・ジャンプ」の解説

 秋も深まったある日、丸山さんは、紅葉の森を見ながら「いい職場だったなあ・・」としみじみと言われていることが書かれています。もうすぐそこに退職の日が迫っているようです。

 丸山さんと奥さんがやってこられたことに、コメントを書こうとしましたが、ここは私のコメントではなく、丸山さんの言葉を読んで、あらためて皆さん一人ひとりが感じることがよいように思います。

 あらためて、読み直してみてください。

 「あの忌まわしい一瞬、そして背負った障害を“人生の挫折”と悔やみ、“再起不能”と苦悶し続けた日々から2年余が経ちました。あのときに失ったものはあまりにも大きく、重いものでしたが、入院・退院・職場復帰までを振り返ってみると、その間に得たもののほうが、失ったものより豊かで大きなものになったと感じています。とりわけ、総合せき損センター入院中の日々は、『家庭・職場復帰』の具体的目標に向けての激励と意欲をいただいた日々でした。皆様の医療に向けての使命感がヒシヒシと伝わり、多くの方々の温かい人柄に心打たれました。いま、定年退職のときを迎えて、新しい人生に向けて、強い意欲とひそかな自信を抱いて、出発点に立っています」

 「専門性と人間性・・。この入院中の医療関係者との出会いを通して、職業人としての人それぞれの専門性の奥深さに驚嘆させられてきた。さすがにプロと思わせる人たちであった。なかでも人間像として忘れられない人は、優れた専門性の奥に人を惹きつけてやまない人間的な魅力にあふれていたのである。私は患者として看られながら、職業柄、教師としてのあり方と重ねて考えさせられた。コミュニケーション能力――、専門性と人間性の調和した魅力溢れる人たちに共通していた点は、優れたコミュニケーション能力であると思う。表情、身振り、手振り、素振り、目の色や輝き、顔色、言葉遣い・・。これらから人の訴えを読み取る、一人ひとりの輝く個性を見て取れる。このような資質は、どうしたら育まれるのだろうか。相手の立場に立って考えることができる、いつも人の気持ちを思いやる、このような人柄はどうしたら育っていくのだろう。私は、どれもこれも自分で磨いていける資質だと思っている」

 「私の人生を三段跳びに例えるなら、怪我をするまでは長い助走だった。怪我をしてここへ戻るまでが『ホップ』であり、この1年で、これからの生活に自信を得た。それが『ステップ』と言える。そしていま、これからの新しい生き方(ある仕事を立ち上げようとしている)を始めるときが『ジャンプ』であると言える」