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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第34回 元暴力団員の息子と母親の二人暮らし家庭に対する援助方針を考える
(2001年11月号(2001年10月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Bさん(社会福祉協議会・福祉活動専門員)

事例の概要

クライアント

Eさん 女性、78歳
Yさん 長男、54歳

・生活歴
 Yさんは元暴力団員。16歳の時に板前になったが、20歳で組員となる。10年ほど前に足を洗っている。結婚して女の子を2人もうけたが、20年前に離婚。子どもは2人ともYさんが引き取った。現在は2人とも結婚して比較的近隣に住んでいる。
・生活状況
 公営住宅に2人暮らし。Eさんの年金で生活しており、Yさんは忙しいときだけ板前の助っ人として声がかかる。
・光熱水費
 遅れながら払っている。
・借金
 家賃の滞納(約200万円)。毎月の家賃は1万9000円。
 銀行に、12~13年ほど前に亡くなった夫の借金がある。年金入金時に5万円ずつ返済し、もうすぐ終わる。
・相談経路
 平成13年2月8日
 EさんとYさん2人で来所。昨日、裁判所と役所の職員2名が来た。「立ち退いてもらいたい」という内容だった。板前の仕事は週末にスキー場の手伝いが入っているが、まとまったお金もなく引っ越せないという事情を説明した。役所の職員から、お金がないのだったら貸してくれるところがあるから相談してみてはどうかと紹介されたので来てみた。立ち退きは2週間後まで待ってもらえることになった。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。