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再録・誌上ケース検討会

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


第29回 「理解力がない」と思いこんでいたクライアントを支援するには
(2001年6月号(2001年5月刊行)掲載)

スーパーバイザー

奥川 幸子
(プロフィールは下記)

事例提出者

Tさん(在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー)

事例の概要

 Nさん(男性、68歳)は、妻と2人暮らし。
 平成11年3月、トイレで倒れ、救急車にて搬送され受診。左視床出血にて脳外科入院治療となる。約1カ月後、症状軽快し、リハビリ在宅援助目的で神経内科へ転科となる。

本人のADL:移動は見守り~軽介助にて可能な状態であり、入浴はシャワーがほとんどであるが、自力で可能。その他のADLについては、ほぼ自立している。コミュニケーションについては、話しかけると「はい」「いいえ」と返答はするが、自ら話すことはほとんどない。

介護者:妻(65歳)。視力障害はあるが、日常生活に支障はない。お金を使いたくない人で、相手の言うことを聞かない。理解力が乏しく、自分に都合のよいように解釈する傾向が強い。

生活状況:自宅の1階を駐輪場にしている。ここ10年ほど、内職の仕事をしながら駐輪場の収入と年金とで生計を立てている。トイレは屋外、浴室は簡易浴槽。電話はなく、必要なときは民生委員に借りている。

プロフィール

奥川 幸子(おくがわ さちこ)

対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。