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今月のケアマネジャー

ケアマネジャー

介護専門職の総合情報誌『ケアマネジャー』最新号の内容をご紹介します。

――これだけは押さえておきたい
高齢者に多い精神疾患の知識と対応

『ケアマネジャー』2023年9月号から、特集(これだけは押さえておきたい 高齢者に多い精神疾患の知識と対応)の内容を一部ご紹介いたします。

 令和4年版障害者白書(内閣府)によると精神障害者の人数は、約389万人、そのうち65歳以上は約145万人(37.2%)となっています。
 今後、高齢者数の増加とともに、精神疾患のある高齢者も増えていくことが十分に予測でき、また、精神疾患にも対応した地域包括ケアシステムの構築が求められていくなかで、ケアマネジャーのかかわりにも大きな期待がかかります。
 本特集では、基本的な知識と具体的な対応方法について解説してもらいます。


精神疾患の基礎知識

 精神疾患と聞くと、「心の病気」というイメージを抱きますが、その症状は脳のはたらきや周囲の状況とも密接に関係しています。
 ここでは、精神疾患に関する基本的な考え方と全体像を解説します。

精神疾患とは ――病気を3つの要素からとらえる

 つらいことがあると気持ちが落ち込み、時にはどうしてよいかわからなくなる……。これは誰にでもあることです。しかし、そうした状態が強すぎたり、何か月も続いたりして、普段の生活ができなくなってしまうのは病的な状態といえます。
 心はとても複雑にできていて、同じことを経験しても、ひどく落ち込む人もいれば平気な人もいます。どこからが病気かはっきりしないこともあり、精神疾患は目に見えないのでよくわからない、と言われることがあります。
 病気の症状が出るしくみについて、人間の健康にかかわる要素を、からだ(身体)、こころ(心理)、まわり(環境)の3つに分けて説明します。からだは、手足などの動きや、脳を含めた身体の臓器のはたらきのことで、遺伝子によって決まっている体質なども含まれます。こころは、その人の気持ちや考え方のことです。これに、家族や友達などとの対人関係や、職場や地域、制度など、まわりの状況が関係しています。これら3つがうまく調和しているのが健康な状態ですが、何かの理由でバランスがとれなくなって、生活に差し支えるほどの精神症状が現れたのが精神疾患です。

精神疾患の全体像

精神疾患は種類が多く、全体を覚えるのは大変です。ここでは、症状別に病気を分けて特徴を整理します。

考えがまとまらず混乱する病気

 他人の行動など周りの状況に過敏になり、考えや感情がまとまらなくなって、ひどく混乱する病気です。思春期に起きやすい統合失調症や、主に老年期に妄想だけが目立つ妄想症があります。

気分の落ち込みや浮き沈みが大きい病気

 自分を責めてしまい意欲がなくなるうつ病、元気になりすぎる躁状態とうつ状態を繰り返す双極症(双極性障害)、軽い気分の落ち込みが長らく続く気分変調症や、気分循環症などです。

不安や焦りが強い病気

 不安などの起き方によって診断が分けられます。いつも不安なのが全般不安症、対人関係で不安になるのが社交不安症、狭い所や尖った物など決まった物や状況に恐怖があるのが限局性恐怖症、急に不安になってしまうのがパニック症です。

行動したくてたまらない病気

 衝動的な行動が止められない病気です。鍵の施錠確認や手洗いなどを繰り返す強迫症(強迫性障害)のほか、物を捨てられないため込み症や、自分の毛髪を抜いてしまう抜毛症などもあります。

物や行動に依存する病気

 嗜癖行動(アディクション)がコントロールできない病気です。アルコールやたばこ、違法薬物などへの物質依存や、ギャンブルや買い物、ゲームなどの行動依存があります。

食行動の病気

 物を食べられなくなる神経性やせ症や、食べ過ぎてしまう過食症など、食べることがコントロールできない病気です(摂食障害)。行動を抑えられずこだわってしまうのは、依存症や強迫症とも似ています。

ストレスに関係する病気

 ストレスとなる出来事に関係して起きる病気です。大災害などによって起きる心的外傷後ストレス障害(PTSD: Post-traumatic Stress Disorder)、状況に慣れるまで不安や抑うつが続く適応症(適応障害)、記憶や感覚がうまくつながらなくなる解離症、身体症状が現れる変換症などがあります。

知能や発達の障害

 自閉スペクトラム症 (ASD: Autism Spectrum Disorder)、注意欠如・多動症(ADHD: Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)、限局性学習症(SLD: SpecificLearning Disorder)など、発達の一部が生まれつきの理由で損なわれた障害です。

人格(パーソナリティ)や行動の特徴

 通常とは著しくかけ離れた行動パターンや考え方が続くとき、医療的なかかわりのなかでは、パーソナリティ障害やパラフィリア障害と診断されます。正常との区別は難しく、生活への影響と、本人や周りの人の苦痛の強さが診断の目安です。

以降は、本誌(ケアマネジャー2023年9月号)をご覧ください。
執筆:
 植田俊幸 鳥取県立厚生病院・精神保健福祉センター医長
編集協力:
 山田友紀 ふくなかま居宅介護支援センター管理者
 山本領子 稲城市地域包括支援センターこうようだい管理者

以上は、『ケアマネジャー』2023年9月号の特集の内容の一部です。ぜひお手に取ってご覧ください。


特集

Chapter 1
 精神疾患の基礎知識
Chapter 2
 高齢期の特徴的な精神症状と対応の仕方

『ケアマネジャー 2023年9月号』
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