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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

魂の永遠を信じて・・・

 突然の訃報に言葉を失うことが続きました。
 前回、書かせていただいたアントニオ猪木さんのご逝去に言葉を失った数日後…、私が施設長になってから、とんでもなくお世話になった他法人の特養で施設長をされていたNさんがご逝去されたというお知らせをいただきました。

 N施設長は数年前から癌を患っていました。体調を崩されることもあるなか、治療を続けて施設長職をまっとうされていました。
 私が施設長になったばかりのころ、右も左もわからず苦しんでいるとき、「いつでも連絡ちょうだい」と声をかけてくれました。こう言ってくれる人はほかにもいます。それでも、その言葉を真に受けて、先輩に対してなかなか気軽には連絡できないものです。
 そういう人の気持ちを理解されているのでしょう。何もないときも、ご自分から電話やメールをくださり、「最近どう?」「元気にがんばってる?」と声をかけてくれるのです。本当にやさしい方でした。

 今年の4月。N施設長がメールをくれました。そこには、
「医者から、これが最後の抗がん剤だと言われた。それをいま使ってるんだ」と書いてあり、最後に「会いたいなあ」と書いてくれていました。
 私は急いで会いに行きました。数か月ぶりにお会いするN施設長は、抗がん剤の副作用で髪がなくなり、やせ細っていました。
 その姿を見て、驚かないようにするのが精いっぱいだった私に、N施設長はにっこり笑って、「いつものやつ、やってよ」と言いました。私は間髪入れず、「元気ですかーッ!」。
 N施設長は、「あはは! 山口さんは、そうでなくっちゃ」と満面の笑顔で言ってくれました。この日は体調がよかったのか、一時間ほど熱のこもった話を聞かせてくださり、「期待してる」「応援してる」と何度もおっしゃっていました。話が終わると、身体もつらいと思うのですが、玄関先まで出てきてくれて、「またね!」と言って別れました。私よりずっと目上の方なのに、私の車が見えなくなるまで見送ってくれました。

 N施設長の言ってくれた「山口さんは、そうでなくっちゃ」「期待してる」「応援してる」という言葉が、ずっと自分の中で反復しています。
 人生には、出会いがあれば、別れがあります。二度と会うことのできない「死」という別れ。それでも、その人の存在、言葉、思い出は、私たちの心の中で生き続けます。

 人生はつらいこと、苦しいことが多い。でも、旅立たれたみなさんの期待、応援を背負って、明るく、前を向いて生きていきます。

 元気ですかーッ!!

著書のご案内

山口晃弘氏の著書が弊社より発行されています。
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。現場のリーダーからも「この本に出会えてよかった」「求められているリーダーについて深く理解できた」「実践にもすぐに役立つ」など、嬉しい感想を頂いています。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8

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