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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「一握りの勇気」

 女性利用者のKさんが、百歳のお誕生日を迎えました。
 百歳になっても、ご自分の足でしっかり歩き、職員の手伝いをしてくださったり、ご自分より若い利用者の世話をやいたりする姿は、本当に素敵だなと思います。

 Kさんに長生きの秘訣をうかがうと、「朝早く起きて、美味しい空気を吸うこと。好き嫌いせず、お野菜をいっぱいいただくこと」とおっしゃっていました。
 質問する一つひとつのことに、すべて優しい笑顔で答えてくれるKさん。
 100年生きた人、3万6500日生きた人の言葉、笑顔には、形容し難い暖かさと憂いがありました。

 Kさんの百歳をお祝いさせていただき、改めて私たちが何をすべきなのかを考えさせられました。
 人生は生まれた時から、確実に終わりに向けて動いています。
 楽しいこともあるけど、苦しいことのほうが多い気がします。
 頑張って生きてきた人の晩年が幸せなものであってほしい。そのためには、優しい人に囲まれることがいい。私はそう思っています。

 優しい人…。
 いつも、どんなときも、相手を想い、親切に優しく…。そうありたいと思っているけれど、簡単ではないですよね。
 介護、福祉は、生活支援の仕事。「支援」は、「支えて援助する」と書くけれど、人を支えることは簡単ではない…。

 私は施設の管理者として、利用者だけでなく、職員のことも支える立場にあります。
 だから、もっと強くなりたい。もっと優しくなりたい。もっと大きい人間になりたい。

 49歳になりました。同世代の人たちは、みんなもう下り坂のように言います。私はそうは思いません。
 弱き者は守り、強き者には挑む。少年時代に描いた夢と何も変わっていません。
 「あの頃は俺も若かった…」そんなセリフを吐くような大人には絶対にならない。

 大変な時代を生き抜いてきた利用者、コロナ禍で大変な状況のなか頑張る職員たち。人を支えていくのは、並大抵のことではありません。
 どんなときでも挫けず、どんなときでも自分より相手を想う気持ちを忘れずに、誠心誠意、自分の務めを果たしていきたいと思います。

 一人ひとりの力は小さくても、大きな山を動かすのは、一握りの勇気です。