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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「介護は小さい」

 ラグビーワールドカップ2019で史上初の決勝トーナメント進出を決め、目標であったベスト8を見事に勝ち取ったラグビー日本代表。
 予選ラウンドでのスコットランド戦。歴史に残る激しい勝負を見せてくれた試合後のインタビューで、日本代表のトンプソンルークは「ラグビーは小さい」と話しました。

 トンプソンルークは、日本代表最年長の38歳。この日はフル出場し、最も多い18タックルを決めました。その試合の直後、トンプソンルークは「ラグビーは小さい」と言ったのです。この日は、台風19号が猛威を振るい、多くの日本人が被害に合った翌日でした。
 「台風で亡くなった人や家にダメージを受けた人からしたら、ラグビーは小さいこと」
 そう言った彼は、だから自分はラグビーで少しでも勇気を与えたいと話しました。

 確かに、被災して家族や家を失った人からすれば、スポーツどころじゃないかもしれません。しかし、あれだけの激闘を終えた直後に、このような発言ができるものでしょうか。満身創痍の状態であっても、被災した日本人を気遣う彼に、青い目をした大和魂を見ました。男の中の男だと思います。

 介護の世界はどうでしょう?
 業務が忙しい…、職員不足…と、イライラしたり、余裕のない態度を利用者に取ってはいないでしょうか。
 80年、90年という長い人生のなかで、「高齢になり介護を要する時間」など、いっときのことです。このいっときの時間をお世話させていただく、しかも仕事としてさせていただく介護を「小さいこと」と私たちは言えているでしょうか。
 今の高齢者は戦争や戦後の大変な時代を必死に生き抜いてきた方たちです。そんな人たちが歳を取り、生きるのに人の手を必要とするようになっただけのことです。そんな介護を「小さいこと」と言える職員でありたい。

 本当に優しい人は強い人です。自分が辛いときでも人を思いやることができるのは、「強い人」にしかできないことだからです。
 苦しくても、激しいタックルをされても、仲間にボールを繋いでいくラガーマンたち。
 私もそんな男になりたいです。