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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

「どうして優しくできないの?」

 6月17日(日)の『ちとCafé』は、虐待をテーマに話し合います。
 虐待には様々な種類があると言われています。
 殴る、蹴る、つねるなどの身体的虐待は、私たちのように介護を職業にする者にとって論外です。暴力は断じて肯定できませんし、これは犯罪です。
 しかし、身体的虐待でなくても、結果的には命を奪うこともあるのが、心理的虐待です。介護を職業にする人に、肝に銘じてほしいのは、要介護状態にある人にとって、私たち介護をする側は強者です。だって、要介護と書くとおり、介護を要する方なのですから、介護を放棄されてしまったら、生活が成り立たないのです。介護を受ける側の気持ちになってください。

 介護者が、無視をしたり、威圧的な態度を取ったり、お願いしても嫌がられたり、不満を言われたり……。
どれだけ辛いでしょう。哀しいでしょう。悔しいでしょう。
 好きであなたにお願いしているわけじゃない。できることなら自分でしたい。それが加齢や障害とともにできなくなってしまったのです。
 このような生活をしていくと、自分に自信がなくなります。発言しなくなります。気力を失い起きることすら億劫になります。食べなくなります。その結果、死を早めることもあるのです。

 あなたなら、どう思いますか? あなたなら、介護を依頼した時どのような態度を取ってくれたら安心しますか? 嬉しいですか?
 虐待なんて、ここさえ理解すればなくなります。
 いつかみんな歳をとります。誰しもがいつ障害をもつかわかりません。
 逆の立場になる日が来るのです。
 どうして優しくできないの? どうして強者にならなきゃ気が済まないの?
 自分がされて嫌なことはやめよう。自分がされて嬉しいことをしよう。
 幼稚園の頃、教わったことのような気がします。

 虐待には他にも、経済的虐待などがあります。
 政府は、ケアプランに自己負担を導入する方向で本格的な検討に入りました。ケアマネジャーの業務のチェックになるといった大義を掲げているようですが、実際には膨れ上がる社会保障費の抑制が狙いでしょう。
 やむを得ない面もあるとはいえ、実際に介護を受ける人、家族にとって、経済的負担は深刻化している家庭もあるのです。これを虐待といったら怒られるでしょうが、本当に苦しんでいる人を救いたい。それが福祉でありたいと切に願います。


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