メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

ラインケア

 社内で全職員を対象に「メンタルヘルス研修」を実施しています。
 近年、世界の国々でメンタルヘルス不調者が増えているようで、新型コロナウイルス感染症で拍車がかかっているとのこと。

 そもそもメンタルヘルスとは、直訳すると「心の健康」で、世界保健機関(WHO)では「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義されています。

 厚生労働省は職場におけるメンタルヘルスケアとして「セルフケア」「ラインケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の四つのケアを推奨しています。

 僕のところでも社内研修を通じて、心の不調要因はどこにでも転がっていることを伝え、その中で自分自身の体調変化に気づけることが大事で、自分自身で心の健康状態を守るための対処法を考えることの必要性を伝えているので、職員さん個々に様々な「きっかけ」になっているようです。

 同時に、受講した職員さんから「部下ならびに同僚の『いつもと違う』に気づけることが大事だと気づけた」という声が多く寄せられます。
 これを「ラインケア」っていうのでしょうが、これって利用者・入居者支援の基本でもあります。

 僕はベテランと新人の力量差として重視しているのが「変化への気づき」です。
 「前回会った時と何かが違う・どこか変」
 という気づきです。

 つまりメンタルヘルスの視点から利用者・入居者の置かれている状態や状況を俯瞰すればすぐにわかりますが、利用者・入居者は、自身の状態から「心の不調」を受けやすく、かつ心の不調を受けやすい環境にあり、心の不調に対して「セルフケア」を行き届かせにくい状態にありますから、当然ながら支援する者が気づき・対処してあげることが必要で、それが介護の仕事の重要な柱です。

 しかも、認知症の診断が下りていると、「心の不調」から引き起こす言動を「BPSD扱い」されることもあり、支援者が見逃し重篤化させてしまいかねませんし、過度な薬物投与で事態を悪化させてしまうこともあるでしょう。

 職員間での「いつもと違う」への気づきも、職員と利用者・入居者間での「いつもと違う」への気づきも同じ「他人への気づき」ということですが、その根っこに「職業的他人への興味・好奇心」が仕事として大事だということではないでしょうか。

 家族も同じですね。
 「うちの旦那、髪型を変えても気づきもしない」なんていう奥様方の声を聴くことがありますが、奥さまが入居されるにあたり、面接であれこれ聞くと「妻のこと、何にも知りませんでした」という旦那さんに、これまで結構会いましたもんね。

 僕もその昔、ある方から「和田さんは利用者・入居者のことはそこまで深く考えるのに、何で私のことは考えてくれないの」って言われたことがありましたが、結局自分自身で突き詰めてみると「ライン化していない」ってことでしたね。

写真

 カタクリの花ですが、詳しい方によると目にしなくなったそうです。この花の球根が「片栗粉」なんですが、量が少ないためジャガイモやサツマイモから抽出したでんぷんが使われているとか。ならば名称を「イモ粉」に変えればいいのにね。
 僕が子どもの頃は、片栗粉に砂糖を入れて熱湯でかき混ぜ、半透明に柔らかく固めたものをよく食べていましたね。僕はそれが大好きで主食にするときもありました。
 調べて知ったのですが、カタクリでできる片栗粉は下痢止めに役立つ薬用になり、ジャガイモ等でつくった片栗粉にはその効用はないそうです。
 片栗粉がカタクリじゃないことにビックリです!

【前の記事】

BCP

【次の記事】

紙一重