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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

今は「耐える」を力に蓄えるとき

 介護報酬が改定され、細かい数字も公表されましたので、多くの事業者は収入の基礎となる基本報酬の改定が多少なりともプラスになったことで安堵し、上積みとなる加算について頭を悩ませ、数字とにらめっこしているのではないでしょうか。
 かく言う僕も、その立ち位置で仕事をしなきゃなんないのですが、頭がまだそこに向かっていこうとしていません。

 何となく気持ちがふわふわしていて、心ここにあらず状態にあり、そのわけを探っても自分のガードが固く、僕自身掴みきれていません。
 本来このタイミングで介護報酬改定に対する和田さんのコメントを出せればジャストタイミングであり、皆さんと共にコトを囲めたかもしれませんが、ご勘弁ください。

 さて、先日のニュースで宮古島の新型コロナウイルス感染を報道していましたが、とんでもないことになっているようですね。10万人当たり感染者数が201人で、都道府県最高の東京の四倍! 事実上のロックダウン状況だとか。

 宮古島といえば、ちょっと前まで美しい海を売り物にしたリゾート関連業の活況で建築ブームとなり、「宮古島バブル」と報道されていました。
 ひとつの指標ですが、2018年度の有効求人倍率は四年連続で1倍を超え、2018年度は1.67倍と沖縄県最高。役所の人員も足りず、賃貸住宅は供給不足で売り手市場となり家賃急騰。ワンルーム9万円でも満室で、土地価格は数年前の100倍以上なんて報道されていましたからね。

 それが新型コロナウイルスの感染で観光客がバッタリ止まり、深刻な事態に陥っているようですが、土地代は高止まりしているようで、耐えしのぎ再バブルを待っているかのようです。

 新型コロナウイルスは広く深く人の暮らしに影響を与えましたが、僕らの仕事にも暗い影響を及ぼしています。
 それは、そんなことを考えたこともない、実践したこともない介護職員の方にはわからないことですが、「利用者・入居者と一緒に買物行動がとれない」ことだけでも、そういう実践を願っている介護職員にとっては計り知れないストレスであり、先日も「モチベーションを維持できない」という声が職員さんからあがってきました。

 そういう閉塞状況が与える影響は職員間にも影響を及ぼしていることは間違いなく、平素なら笑って済ませていたようなことも職員間のちょっとしたズレが関係性にまで及び、それが利用者・入居者へも響き、施設全体がよどんだ感じになってしまいかねません。

 その声に、どういう言葉をかけようか考えましたが、「今は耐えるしかない」と言うのが精一杯でした。

 つまり宮古島の土地価格のように、今を耐えしのげば、宮古島の海という商材がコロナで傷んだわけではないので再起できるという読みと同じように、僕らに傷みが及んでなければ、ワクチンであれ何であれ新型コロナウイルスを封じ込める道が拓ければ、再起・再建・再興できるってことです。

 新型コロナウイルスによって様々に傷んだとしても、僕らの「認知症になっても人として生きていけるように支援する志」さえ護り切れば、いつかきっと「認知症の状態にある人の暮らしを営む支援」は返り咲け、また街の中を堂々と買物袋を提げて闊歩する・車いすでパレードする姿、皆さんでワイワイ言いながら一緒にご飯づくりする姿を蘇らせることができるでしょう。

 それまで「志」は耐えるしかないのですから。

追伸

 さて、今年に入って三回目の名古屋⇔東京ドライブをしてきましたが、今回は富士山、やっとこさ真っ白で、雲のかかり方もよく「頭を雲の上に出し♪」がドンピシャでした。
 とっても美しかったですよ。

お願い

 僕の携帯電話のデータが消滅してしまい、たくさんの仲間や友人・知人の連絡先がわからなくなっています

 この記事を読まれた方で僕のアドレスや携帯電話番号を知っている方は、ぜひ、「氏名を記載してメールかショートメールを送ってください」ますよう、この場をお借りしてお願い申し上げます。

写真

 超・密なここは、ベトナムハノイ市の旧市街地の一角で、週末になると写真のようにすさまじい人が繰り出し、道路をふさいで椅子が並び、人々は飲んで食って語り合っていました。
 ベトナムはコロナ封じ込めに成功した国で、ワクチンの国内開発も進み市中感染ゼロが続いているようですが、この人々の生きる姿にまで戻れたのでしょうかね。
 ちなみにこの光景もある時間になると一斉に片づけられ人々は散らばり、あっという間にその姿は消えていきますが、ある時間になるとお巡りさんが回ってくるからです。
 これが、ベトナムがコロナ封じ込めに成功した理由のひとつかもしれませんね。

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