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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

宅研


 コロナ影響で集合研修がままならない中、管理者さん向けに「在宅・在所研修」というものを実施しました。
 中身はなんてことないのですが、あるお題を自宅か事業所で解いていただくというありきたりなことです。が、僕が今の法人に入社して15年、初めての試みでした。
 今回アップしますのでひも解いてみてください。

〇事案発生場所
入居施設(1ユニットの認知症対応型共同生活介護事業所)

〇事案当事者
入居者玄さん(認知症の診断がある男性 仮名)
入居者よねさん(認知症の診断がある女性 仮名)

〇発生事案・背景
介護施設の職員たちは、玄さんがよねさんに対して、他の女性入居者にはない特別な想いを寄せていることが日常の言動からわかっていました。
ある日女性夜勤者のときの夜中、玄さんがよねさんに性行為をしようとしているところを発見。
検証で、よねさんと玄さんがたまたま廊下で鉢合わせになったことで、玄さんがよねさんの手を引いて居室に連れ入り、よねさんに対して性行為に及ぼうとしたことがわかりました。

 玄さんに認知症はありますが、「よねさんに対してだけとる言動がある」「男性職員と女性職員のときで行動を変える」などから、わかってやっていると思えますが、このことを話しても「憶えがない」と言い、それが「ふり」なのかどうか全般的な状態から定かではありません。
 よねさんは、何に対しても「されるがまま・言われるがまま」の方です。

 玄さん・よねさんともに配偶者はなく、玄さんに家族はいません。
 よねさんの子どもに報告すると「そんなことがあったんですか。起こらないほうがいいですが、認知症だからしょうがないですかね」と言われました。
 玄さんは養護老人ホームに入居していましたが、認知症で対応できなくなり当施設へ転居。その際、老人ホームからその類の申し送りは特にありませんでした。ただ、当施設入居後居室にて自慰行為を現認していました。

 この事態を受けて緊急職員会議を開催し、今後の対応策について話し合った結果、二つの対応案が出されました。

〇緊急職員会議で出された対応策1
これに対して職員から、この二人以外の入居者の支援のため居室に10分以上滞在せざるを得ないこともあるため、女性夜勤者・夜勤者一人の時間帯で目が届かないと判断したときは、玄さんが居室から出てこれないように鍵をかける案が出されました。

〇緊急職員会議で出された対応策2
これに対して職員から、この二人以外の入居者の支援のため居室に10分以上滞在せざるを得ないこともあるため、女性夜勤者・夜勤者一人の時間帯で目が届かないと判断したときは、よねさんが居室から出てこれないように鍵をかける案が出されました。

 さて、以下が僕から管理者への設問です。

■設問1
この事案から、入居前に家族等に伝えておかないといけないことは何だと思いましたか。複数回答可

■設問2
設問1に関係しますが、この事案を考えるときに必要な「そもそもの基本的な考え方」は何だと思いましたか。複数回答可

■設問3
対応策1と対応策2のどちらかを選択するしか方法がない場合、あなたならどちらにしますか。選んだ理由を明記してください。

■設問4
対応策1・対応策2のどちらを講じるにしてもやっておくべきことは何ですか。複数回答可

 つい先日も市民からの質問に「認知症になった親の性的行為」について質問をいただきましたが、この手のことはここ数年増えているように思います。
 さぁ皆さんも、周りの方々を交えて一緒に考えてみてください。

写真

 少し前、ある店の壁に掲げられていた張り紙です。ユーモアを交えていますが「悲痛な声」です。
 東京もいよいよほぼ平時に戻り、店内もレジも密増を取り戻してきているのではないかと思いますが、そうなると庶民の財布はお金が減密となり、嫁さんに泣きが入るんでしょうね。
 でも、コロナ封じがうまくいったと言われている韓国では再び感染者急増していますからね。油断大敵です。
 ワクチンや治療薬が市民生活に行き渡るようになるまで「平時」とは言えないんでしょうね。

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