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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

ふとした疑問


 この二週、ブログ記事をアップするのが遅れご迷惑をかけているが、それは二つのことについて書きたくて書こうとするのだが、思うようにはかどらないからだ。そのうちのひとつは介護報酬の改定に関することで、それは先週触れた。

 もうひとつは介護職員の不足についてである。

 新聞報道では推計不足数として、2025年には30万人の不足となると発表されていた。

 僕のふとした疑問は、介護職員の人手不足が叫ばれて久しいが、今時点で一体全体何人不足しているのだろうかということだ。

 そこである都道府県の人に聞いてみたが、明らかにできていないようで、これまた疑問は深まるばかりである。

 しかも、100人定員の特養2か所に必要な介護職員数は最低常勤換算66人(33人×2 看護職除く)だが、それはあくまでも基準上の話で、法人が求める必要数に対してではない。

 その典型が新型特養・ユニット型で、基準上でいえば入居者3名に対して1人だから3:1だけど、それでは運営できないことがわかっているから介護報酬で差をつけて、必要人員の確保2:1を狙ってきた。

 だとすると10人×10ユニットで基準上必要な介護職員数は33人だが、運営をしていく必要数は50人ということになり、そこまで勘案して不足数を出さないと「正確な不足数」とはならない。

 グループホームなんかでもよくあるのが、より入居者に必要な支援をするため、また職員の病気など不測の事態に対応するために、日中時間帯の介護職員を基準よりも手厚く配置していたりする。

 簡略して述べるので誤解されるかもしれないが、例えば、日中の時間帯に24時間分の介護職員の配置基準を満たすだけだと、夜勤者の「入り」と「明け」の2勤務を除いて日中2人いれば満たすことができるが、3人配置しているところがある。そうすると退職者が出て補充がきかず、3人が2人になっても基準上の不足はゼロだが、現場としてはマイナス1ということだ。

 つまり国も都道府県も、本当に介護職員不足対策を講じるというのならば、正確な「現場で必要する人員数-現在数=不足数」を出さないと、手を打ったとしても現場の状況は変わらないということになりかねない。

 しかも数だけでなく、「介護職員の高齢化」という課題もあり、介護事業が24時間型になって夜間勤務をする業種だらけになってきているなかで、この課題も含めて人員不足をはじき出してもらったうえで対策を講じないと、これまた実態からかけ離れてしまうだろう。

 そんなこんなことを考えていると時間ばかりたち、かといって調べても正確な数字が出ないので手が止まってしまうのだ。

 あなたも今現在の不足数がどうしても知りたくなってきたのでは。

写真

 飛行機に乗っていると、地上ではどうしても出会えない景色に出会えます。だから眠れないんです。この「わびさび」の感じがたまらないですね。向こうの光は、太陽光が海に反射したものです。下の写真の向こうのお山は、富士やまです。


 カメラの性能があまり良くないのと、飛行機の窓が新しくなく、くすんできている状態がこの「わびさび感」を生み出したのかもしれませんが、これが写真の面白いところですかね。婆さん支援も同じです。

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