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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

研修の現場から:書き換えパフォーマンス

 今月の月刊ケアマネジャーの特集「記録の苦手解消法」のなかのStep2でご紹介した「ケアプラン1表」の書き換えパフォーマンスを行いました。場所は愛知県碧南市。主催はケアマネジャー連絡会のみなさんです。


 この日は、午前10時から午後5時までの6時間という長丁場。ケアプランにどうして「本人らしさ」が表れないのか、どうしてワンパターンになってしまうのか、などを多面的に分析を行いました。

 では「本人らしさ」って、どのような点に着目すればよいか。前回のブログでも書いた「価値観」でしょうか?。それはそうですが、かなり抽象的になってしまいがちですね。ですので・・・

 「みなさん、悩みがちですが心配ありません。ADL,IADLには、本人らしさがとてもよく表れますよ」

 と説明をします。

 ADL・IADLを次のような視点から利用者(家族)に質問するだけで「本人らしさ」は、すぐに浮かび上がります。

<ADL>
  • ・食事 → 「おいしさ」「食べ方」「食べる場所」など
  • ・入浴 → 「湯加減」「洗う順番」「好みのシャンプー」など
  • ・更衣 → 「好みの部屋着」「好みの外出着」など
  • ・整容 → 「好みの化粧」「好みの髪型」など

<IADL>
  • ・料理 → 「好きな手料理」「得意な手料理」「家族に食べさせたい手料理」「懐かしの手料理」など
  • ・洗濯 → 「好みの洗い方」「好みの干し方」「好みのたたみ方」
  • ・掃除 → 「好みの掃除方法」「好みの整理整頓」など
  • ・買物 → 「行きつけの場所」「こだわりの店」「楽しい場所」

 これらに着目するだけで「本人らしさ」満載となります。とかく、食事を「栄養」、入浴を「清潔」、整容を「身だしなみ」、料理・洗濯・掃除を「やる、やらない」レベルでしかとらえていないと「本人らしさ」など、浮かび上がるはずなどありません、と話します。

 このような話は、利用者目線の話より、「あなたなら、どうですか?」と自分目線で振り返った時に、「本当にそうですね」と、とてもみなさんは納得をします。

 このような瞬間、「専門的視点をもっているケアマネジャーは・・・」という文言が、私のなかで虚しく響くときがあります。「専門的視点」が本人目線を曇らせているとするなら、本末転倒だな、と思うのです。

 でも、実は、多くのケアマネジャーは利用者(家族)から、その手の情報は案外と引き出しているという事実を私は知っています。利用者情報入手やアセスメントには課題はあれど、実はけっこう把握していたりします。

 問題は、インプットでなく、アウトプットに不安があるから、文例集を参考にした定型化したパターンを使うことになってしまっていることなのです。


 そこで私が数年前から始めたのが「ケアプラン書き換えパフォーマンス」なのです。月刊ケアマネジャー11月号で誌上再現をしました。

 実は、みなさんは、基本テキストや文例集で、いろいろ考えあぐねた?「結果の表記」しか見ていません。

 大切なのは「書き換えるプロセス」です。


 では、それをじかに見てもらうことで、最初に書いた本人(家族)の意向を書き換えればよいか、2表の課題欄を本人やケアチームを意欲づけるためにどのように書けばよいか、を実感していただけるのではないか、と始めたわけです。


 今回は、ケアマネジャー歴半年の生田さん(現場介護歴10年)に協力をいただき、ケアプランの1・2表の書き換えパフォーマンスを行いました。

 目の前で、私の質問に答える生田さん。回答から浮き彫りになる本人らしさを私が即座に文章化し、それを打ち込んでいくプロセスは、見ているケアマネジャーの方には圧巻のようです。


「このようにすればいいんですね」

「このようなプランだと、ご本人も前向きになりますね」

「私、この方を元気な頃から知っているのですが、これですよ、ご本人が前向きになられるケアプランは・・・」

 などなどの感想が皆さんから聞かれました。

 来週の月曜日は西東京市で「本人の意向・家族の意向のわかりやすい書き方」をテーマに研修を行います。当初は60名だったのが蓋を開ければ100名の規模に・・・もちろん、ここでも書き換えパフォーマンスをやる予定です!(^^)!

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