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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

葛藤:熊本地震~被災地を歩く~

 先週の金・土は熊本地震の被災地を回ってきました。
 スケジュールの調整がつかず20日経過しての現地入りです。被災の状況はメディアを通して触れることはできるのですが、それは加工された3次情報です。リアルに知るためには現地に入るしかありません。


 今回の地震については地震学者や気象庁などが活断層原因説をわかりやすく解説してくれています。日本列島は4つのプレートがひしめき合い、一説によると活断層はわかっているだけで2000カ所、隠れているのはおよそ3000カ所あるといわれています。
 つまり、日本のいずこで起こっても不思議でない地震をまざまざと実感させてくれたのが今回です。
 なにしろ熊本の人に聞くと皆さん一様に「熊本は地震は来ない」と思い込んでいたということです。そこに今回の地震です。
 気持ちのうえで準備がまったくないわけですから、そのショックたるや・・・地震後20日間経過しても家で眠るのが怖く、車中泊を余儀なくされているわけですから・・・。


 今回、足を運べたのは熊本市、益城町、御船町、南阿蘇村、西原村でした。避難所は6カ所行くことができました。
 3.11の東日本大震災のときは津波で家々が壊され流され、数千人の方々が死亡し、町そのものが消失した光景が広がっていました。しかし、今回は違いました。
 家は残っています。ブルーシートで覆われているのは屋根が破損したのでしょう。そのような家々が点在していることです。
 熊本市、西原村、御船町ではそのような光景でしたが、益城町の中心部はまったく違いました。


 壊れているのではなく、傾いている、潰れているという家々たちが延々と続きます。地震は来ないという思い込みからでしょうか、あまり耐震を意識した家づくりをやってこなかったのでしょう。屋根が重いので1階部分が押し潰されているのです。
 もちろん家を囲む外壁は倒れています。石垣もガラガラと悲惨な体。なにしろあの熊本城の石組みが無残にも崩れるほどですから、民家の石垣などひとたまりもありません。


 被災地を歩いて驚いたこと・・・
 それは火事で焼けた家屋がまったくないことです。
 2度の地震にみまわれても火事が起きていない。消防車は走り回っていたようですが、それは火事ではなく壊れた家屋からの救出で回っていたのでしょう。
 おそらく火事となっていたらかなりの延焼は避けられなかったことと思われます。

 そして過去のこの規模の地震を比較すると死亡された方の人数の少なさです。関連死含めて60人前後の数字は被災地を歩くと「もっと亡くなった方がいたのでは?」と思わせる数字です。
 救出の方法や事後の対応次第では、もちろん助かる生命もあったでしょう。しかし、この程度で済んだのはどうしてか・・・


 私見ですが、これからの地域包括ケアシステムや介護保険事業計画には「震災対応」をしっかりと組み込む必要があると思います。地震や津波、水害などの有事に対応できる「災害対応型地域包括ケアシステム」は、別立てで考えておくことで、いざという時に初動をスムーズに行うことが可能となります。
 従来の医療・介護・地域などの連携だけでなく、消防(消防団)・警察・自衛隊・避難所(学校、公共施設など)、さらにはボランティアセンター(社会福祉協議会)なども組み込んだスケールの大きな仕組みづくりが求められていると考えます。

 避難所の状況は次週に!

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    |日 時|5月22日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2805.shtml
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    |日 時|6月26日(日)10:30~17:00
    |詳 細|http://caretown.com/tokyo/caremanage2806.shtml
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。