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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第37回 生活支援技術(3) ~食事、入浴・清潔保持関連など~

 12月を迎え、1月の筆記試験まで2か月を切りました。筆記試験当日に向けて、社会人の皆さんにひとつお願いがあります。試験の前日は、休みをとりましょう。
 相手は“国家”試験。12科目と総合問題の、あわせて125問の出題が予定されています。日々の仕事のあわただしさから離れて、ひと呼吸おいて、苦手と感じる科目についてテキストを読み直し、過去の問題をもう一度解き、3つでも4つでも、より多くの知識を、最後まであきらめず身につけたいものです。
 受験者が休みをとると、サービス提供の現場が手薄になるかもしれません。しかしそこは、同僚がカバーしてくれます。だからこそ、「必ず合格するぞ!」という気持ちで臨み、結果を出し、次回同僚が受験するときは、休みをゆずりましょう。
 それでは今回も、生活場面ごとに「生活支援技術」を学びましょう。


自立に向けた移動の介護(続き)

  • ○人は、無意識のうちに、体位や姿勢を変えることで、同一姿勢による苦痛や疲労の軽減を図っている。自力で体位や姿勢を変えることができない利用者には、安楽な体位を保持する支援が必要となる。体位変換は、褥瘡(床ずれ)予防のためにも重要である。
  • ○骨の突出した部分への長時間の圧迫や寝具による摩擦、皮膚の湿潤、低栄養によって、部分的に血液循環障害が起こることを、褥瘡という。褥瘡の発生部位として、最も頻度の高いものに、仙骨部がある。予防方法として、最低2時間ごとに体位を変換する、シーツなどのしわをつくらない、寝衣などを清潔に保ち湿潤を避ける、たんぱく質やビタミンの多い食事をとり、栄養状態を保持することなどがある。なお、褥瘡の処置は医行為であるため、介護福祉職は対応できない(第27回、32回に「発達と老化の理解」で出題)。
  • ○視覚障害者の手引き歩行(ガイドヘルプ)は、次のように対応する(第25回、27回、28回、34回に出題)。
    • ・介護者は、歩行を始める合図として、自分の手の甲で利用者の手の甲に触れる。
    • ・介護者は、利用者の半歩前を歩き、介護者の肘の少し上を利用者に握ってもらう。
    • ・歩くペースは利用者に合わせ、周りの状況を説明しながら歩く。
    • ・階段の昇り降りに際しては、一度停止し、利用者の足先が階段に触れたのを確認して、ゆっくり昇降する。
    • ・トイレを使用するときは、トイレ内の情報を提供する。
    • ・利用者から一時離れるときは、柱や壁に触れる位置まで誘導する。

 第30回では、介護福祉職が視覚障害者と列車を待つときの位置について、第31回では、安楽な姿勢(体位)に関する事例問題、第33回や34回では、利用者を仰臥位(背臥位)から側臥位へ体位変換するときの力点や、トルクの原理を応用した介護方法(利用者の膝を立てる)について、出題されました。また、第31回の「こころとからだのしくみ」では、良肢位(ADL〔日常生活動作〕に最も支障が少ない姿勢)について、出題されました。

自立に向けた食事の介護

  • ○食事をおいしく食べるためには、献立に興味をもってもらう工夫、食事の姿勢や環境づくりへの配慮、食べやすい食器などの活用、食前の嚥下体操の実施などが大切である(第33回に事例問題として出題)。
  • ○食事前のうがい(含嗽)は、口腔内のネバネバがとれて食欲を増加させ、誤嚥性肺炎の予防にもなる。入れ歯があるときは、装着していることを確認する。
  • 姿勢は、いすで座位をとる場合、かかとが床につくことで安定する。誤嚥を防ぐために、少し前かがみで、あごを引いた状態で飲み込んでもらう。テーブルは、肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。姿勢保持のために、必要に応じてクッションを用いる(第32回に出題。第25回では事例問題として出題)。
  • 摂食(食べる動作)の介助では、介護者は、利用者の目線と同じ高さになるように腰かけ、楽しく食事ができるよう声をかけながら、利用者のペースに合わせる。自立支援を促すためにも、必要に応じて自助具(福祉用具)を用いる。嚥下障害がある場合は、食べ物を口腔の奥に入れないように気をつけ、少量ずつ、「ごくん」と飲み込んでもらってから、次の食べ物について説明し、介助する。初めにお茶や汁物で口の中を湿らせてもらうのも、適切である(第24回、26回に出題)。
  • ○嚥下機能の低下している人(嚥下障害がある利用者)に対する、誤嚥しにくい食物には、ヨーグルトやプリン、ゼリー、煮こごりなどゼラチンタイプ、とろみがついたもの、ソフト食などがある。誤嚥しやすい食物としては、変形しにくく、粘膜にくっつきやすい、こんにゃく、もち、生卵などがあげられる。酸味や刺激の強い調味料も、むせやすいので気をつける(第28回、30回に出題。第34回では、嚥下障害がある利用者の家族に対して、肉、野菜、魚などは軟らかく調理するように勧めることを適切とする、事例問題が出題)。

 第27回では、視覚障害の人にはクロックポジションで説明することが、出題されました。また、第29回では、和食の基本的な配膳の位置、第30回では、季節や行事と食事の組み合わせについて、出題されました。

 食後に対応することが多い、薬について、ここで確認しておきましょう。なお、第32回では、解熱を目的にした座薬の挿入、睡眠薬を服用している高齢者への介護福祉職の対応について、出題されました。第33回の「発達と老化の理解」では、高齢者の転倒と服用する薬剤は関連がある、と出題されました。大事な視点です。

  • ○錠剤やカプセル剤は、原型を壊さないで服用する。点眼は、点眼剤により感染することもあるので、容器の先が、まつ毛に触れずに点眼するよう勧め、複数の人が、ひとつの点眼剤を使用しないようにする。また、座薬は、体温によって溶けるように作られているため、冷蔵庫に保管する(第24回に「介護の基本」で出題)。
  • 食前薬は、食事の30分から1時間前に服用する。食後薬は、食事直後あるいは食後30分後に服用。食間薬は、食後2、3時間してから(食事と食事の間に)服用する。

自立に向けた入浴・清潔保持の介護

  • 入浴前に、体温や血圧など健康状態をチェックし、排泄を済ませておく。湯温は、40℃くらいを目安とし、介護福祉職が直接肌で触れて確認する。また、消化能力の低下を招く食事直後や、低血圧になりやすい空腹時などは、入浴を避ける(第24回、29回、34回に出題)。
  • 入浴中は、顔色や表情に留意し、疲労がないように声をかけ、入浴時間にも配慮する。体は、末梢から中心に向かって洗い、タオルは、身体用と陰部用を別にすることが望ましい。頭髪は、シャンプーを手で泡立ててから髪につけ、手指の腹でこするように、爪を立てずに洗う。
  • 入浴後も、体調をチェックし、湯上がりは体力を消耗していることがあるので、細心の注意を払って介助する。水分を摂取し、保温と安静に気遣い、必要に応じて爪切りを行う。爪を切るときは、少しずつ切り、爪の先端の白い部分を1mmぐらい残す。使用した浴槽や福祉用具は、洗浄と消毒に努める(第28回、29回に出題)。

 老化や病気・障害の特徴・症状などをふまえた介護において、第25回では、心疾患や老人性掻痒症がある人の入浴、第26回では、慢性腎不全や糖尿病性網膜症の人、第26回、29回、31回では、腸の蠕動運動が低下した人の食事、第28回では、パーキンソン病の人の歩行介護、第29回では、片麻痺の利用者の体位変換の方法、第30回では、骨粗鬆症の利用者の食事、糖尿病のある利用者の入浴、第31回では、いすに座っている片麻痺の利用者の食事介護時の留意点、皮膚の乾燥が強くなった高齢者の入浴介護、第32回では、左半側空間無視のある利用者の食事介護、第33回では、慢性閉塞性肺疾患のある利用者の食事、第34回では、慢性腎不全の利用者の食材や調理方法、左片麻痺のある利用者が、浴槽内から一部介助で立ち上がる方法について、出題されました。
 清潔保持の介護については、次回も続きます。


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