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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第36回 生活支援技術(2) ~身じたく、移動関連~

 「生活支援技術」では、生活場面ごとの身体介護技術について、まんべんなく出題されます。本講座の第24回(参照)、25回(参照)、26回(参照)など、「こころとからだのしくみ」領域の内容とも結びつけながら、以下の事項をテキストや過去問解説集でも押さえていってください。また、社会人の皆さんは、身体介護技術を実践する日々の仕事が、すべて受験勉強につながっていると意識するとよいでしょう。


自立に向けた身じたくの介護

整容

  • 洗面は、清潔保持や血行促進の効果があり、朝の洗面により、すっきりとした気分で1日を始めることができる。起き上がりが難しく、洗面ができない利用者には、40℃前後の湯で絞ったハンドタオルを渡し、可能な限り自分で拭いてもらう。拭き残しがないように、利用者のペースに合わせて声をかける。全介助の場合は、利用者の意向をうかがいながら拭く。皮脂や汚れがつきやすい目や鼻の周囲などは、特にていねいに行い、目は、目がしらから目じりに向かって拭き、同じ面は二度使わないようにする(第24回に出題)。

口腔ケア

  • 自立度の高い利用者ほど、効果的に清掃が行われていないことが多い、という視点をもち、自立している利用者に対しても、口腔ケアについて状況を把握し、効果的な清掃が可能になるように声かけし、支援する。
  • 一部介助を要する利用者に対しては、例えば、歯ブラシの柄の部分を太くして持ちやすくするなど、自立の支援のために用具を工夫することも大切である。うがいができる場合は、ブラッシング前にうがいをするとよい。なお、歯ブラシは、小刻みに動かしながら磨く(第27回、33回、34回に出題。第30回では事例問題として出題)。
  • ○高齢になると、唾液の分泌が低下し、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすいので、歯磨きやうがい(含嗽)、義歯の手入れは、毎日欠かさないようにする。唾液腺マッサージも有効である。うがいの際、頬を動かすことは、口腔周囲筋の機能訓練にもなる。基本的に義歯は毎食後外し、歯磨き粉は使わずに歯ブラシを用いて流水で洗い、乾燥を防ぐ。上顎用の総義歯は、義歯の後方を下げるようにしてはずす(第25回、29回、33回に出題)。
  • ○ベッド上で全介助を要する利用者など、歯ブラシによる口腔清掃が困難な利用者には、スポンジブラシやガーゼを使用して、口腔内の清拭を行う。歯垢除去の面で効果は低くなるが、誤嚥などの面では安全な方法といえる。上顎部は、口腔の奥から手前に向かって清拭する。舌の汚れを取り除くことにも留意する(第24回に出題)。なお、経管栄養の利用者においては、刺激による嘔吐や嘔吐物による誤嚥を防ぐため、経管栄養が終わってすぐの口腔ケアは避ける(第24回、26回、34回に出題)。

衣類の着脱

  • 自立度の高い利用者の場合は、衣類を準備すれば自力で着替えられる、説明すれば着替えられるなど、利用者の状況に合わせて見守りなどの支援を行う。
  • 一部介助を要する利用者に対しては、肩口を下げる手助けにより自力で脱ぐことができる、下のほうのボタンは留められるなど、利用者のできる部分を見きわめて、できない部分を支援する。
  • 全介助を要する利用者であっても、衣類の選択を促すなど、可能な限り自力でできることは協力してもらう。
  • ○衣類着脱の介助の留意点として、保温のため部屋を暖め、介護者の手も温めておくこと、介護者の手前から着脱することを基本とし、麻痺がある場合は、健側から脱ぎ、患側から着てもらうこと、身体の下に、しわやたるみをつくらないようにすることなどがある。また、生活のリズムを保つために、昼と夜とで衣服を替えるように勧める(第28回に出題。第34回では、患側に袖を通すときは、前腕を下から支えることを適切とする事例問題が出題)。

 第30回では、保温効果を高めるための着衣について、出題されました。第31回では、身じたく・整容の支援と使用する道具の組み合わせ、ベッド上で臥床したままの利用者に行う和式寝衣の交換の介護について、出題されました。また、第32回では、手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧めることが適切、と出題されました。


自立に向けた移動の介護

  • 自立度の高い利用者でも、移乗や移動が不安定な場合がある。転倒に留意しながら、利用者の可能な動きを最大限発揮してもらえるよう、支援することが望まれる。全介助の利用者であっても、頭を少し持ち上げたり、顔の向きを変えられる場合がある。介護者は、利用者のできるわずかな動きも見逃さないようにする。また、介護者は、自分の身体をねじらないように介助する(第24回に出題)。
  • ベッドから起き上がり、端座位をとったとき、足底部が床に着く高さ(40~45cmくらい)にベッドの高さを合わせることが重要である。
  • 端座位から立位になる際は、利用者に浅く腰かけてもらい、両足を引いて、頭部を前傾し、重心を移動する。片麻痺の利用者においては、介護者は患側(麻痺側)に立ち、利用者の患側の膝に手を当て、立ち上がるのを補助する。立ち上がったときには、健側の膝の裏が伸びていることを確認する(第27回、30回に出題)。
  • ベッドから車いすへの移乗では、ベッドの端に対して15~20度の角度で、利用者の健側に車いすを置く。
  • 車いすは、ブレーキの利き具合や後輪の空気圧などを、使用前に点検する。車いすは後ろから操作するので、利用者に不安を与えないよう、「左に曲がります」など声をかけ、顔色や表情を確認しながら行う。利用者には車いすに深く座ってもらい、急な下り坂では後ろ向きで下り、段差の昇降にはティッピングバー(ティッピングレバー)を用いて前輪を上げて、昇りは前向き、降りる時は後ろ向きで行う。踏切を渡る時も、前輪を上げて駆動輪(後輪)でレールを越えて進む。また、移乗の際には必ずブレーキをかけ、移動時には、利用者の足がフットサポート(フットレスト)に乗っていることを確認するなど、事故防止に配慮する(第24回、30回、33回に出題。第26回では事例問題として出題。第27回には「介護の基本」で出題)。
  • には、T字杖のほかに、より安定性がある四点杖などがある。杖歩行に際して介護者は、いつでも支えられるように、利用者の患側(杖をついていない側)、または患側の少し斜め後方に立つ。杖の先ゴムの減り具合にも、注意を払う必要がある。杖歩行の介助方法として、「杖→患側の足→健側の足」の順で歩行する3動作歩行や、「杖→健側の足→患側の足」の順で階段を昇る昇降方法などがある(第24回、29回に出題)。

 第25回、26回、29回では、移動・移乗のための福祉用具、第26回、27回では、ボディメカニクス(本講座第32回参照)に関して、第31回では、ベッドから車いすへ全介助で移乗するときの、利用者の動作と介護福祉職の身体の使い方、第32回では、移乗介護で最初に行うこと(移乗の目的を説明して同意を得る)、第34回では、スライディングボードを用いた移乗の介護について、出題されました。
 また、第27回では、片麻痺のある利用者が着脱できる衣服を選択するときの助言、第27回の「こころとからだのしくみ」では、糖尿病のある人の身じたくの介護で、異変の有無について特に観察すべき部位、第29回では、アルツハイマー型認知症や実行機能障害、頸髄損傷のある利用者の更衣、第31回では、手首に変形や痛みがみられる関節リウマチの利用者が歩行時に使用する杖、第32回では、高次脳機能障害による着衣失行のある人に対する着衣の介護、右片麻痺の利用者が手すりを利用して階段を昇降するときの介護、第33回では、胸髄損傷の利用者の身体機能に応じた車いすの特徴について、出題されました。病気・障害別の介護という点からも、テキストなどで押さえていきましょう。


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