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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第17回 認知症の理解(2)~認知症を支えるサービスなど~

 今回も、「認知症の理解」について学びます。前回に引き続き、認知症の原因となる代表的な病気(疾患)について押さえましょう。

原因疾患別の認知症の特徴(続き)

  • レビー小体型認知症は、神経細胞の中にあるレビー小体という物質が、脳幹や間脳、大脳皮質など脳の広範囲に出現、沈着するレビー小体病によって起こる認知症をいう。幻覚(特に鮮明で具体的な内容の幻視。薄暗い部屋を明るくすると幻視が消えることがある)などの発症を特徴とする。進行すると、記憶障害、見当識障害などのほか、手の震えや筋固縮、動作が遅くなったり、小刻み歩行や前傾姿勢などパーキンソン症状が現れ、転倒にも気をつける必要がある。誤嚥性肺炎の合併も多い。症状の日内変動が激しいことも特徴である(第24回、25回、33回、34回に出題。第26回、27回、30回では事例問題として出題)。
  • 前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉から側頭葉にかけての限定的な部位が萎縮する、ピック病によって起こる認知症をいう。40歳代、50歳代での発症が多い。万引きや無精な生活、わがまま、自分勝手な行動など、社会のルールや常識的な規範が分からなくなり、人が変わったような特異的な行動を繰り返す人格変化が特徴である。決まった食事しかとらないなどの決まりごと(常同行動)もみられる。常同行動がある場合は、本人と周囲の人が納得できる生活習慣を確立する。また、進行により記憶障害(言葉の意味が理解できないが、動作の記憶は保たれる)が現れるが、見当識障害はみられない(第27回、30回、32回に出題)。
  • ○転倒などによる脳打撲で生じる慢性硬膜下血腫が原因となって起こる認知症がある。打撲により、じわじわと血液の塊ができ、脳を圧迫して神経細胞の活動に支障をきたし、打撲後1~3か月くらいで、もの忘れや頭痛の症状がみられる。診断には、頭部CT検査が有用である。外科的手術で血腫を取り除くことにより、認知症の症状が改善する(第25回、28回、33回に出題。第24回では事例問題として出題)。

 第27回では、早期発見で改善が可能な正常圧水頭症(第28回では事例問題として出題)、認知症の人の「その人らしさ」を支えるパーソン・センタード・ケア、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準について出題されました。第28回、33回では、進行が速く、1年以内の死亡例も多いクロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)について出題されました。また、記憶や見当識、計算などに関する質問を行う改訂長谷川式簡易知能評価スケール、口答での回答と図形の模写などを行うMMSE(Mini-Mental State Examination)といった認知症の検査方法についても、第24回、26回で出題されました。第30回では、IADL(手段的日常生活動作)のアセスメントは、軽度の認知症において有用であると出題されました。

認知症の利用者と家族を支えるサービスなど

 本科目では、認知症とその介護に関する幅広い知識が出題されます。なかでも、認知症の利用者と家族を支えるサービスなどにかかる出題頻度が高いようです。以下にポイントを記します。テキストや過去問解説集でも、一つひとつ読み取り、把握していきましょう。

  • 地域包括支援センターでは、権利擁護業務として、認知症の利用者が必要とする成年後見制度の活用促進や、消費者被害の防止などに取り組んでいる(第24回に出題。第27回、30回では事例問題として出題)。
  • 成年後見制度は、利用者本人や四親等内の親族などによる申立てを、家庭裁判所が受け付け、審判のうえ、後見人等(個人あるいは法人)が選任され、利用者を担当。判断能力が不十分な利用者の財産管理身上監護(契約行為の代理など)を行う(第24回に出題。第29回では「社会の理解」にて事例問題として出題)。
  • ○認知症の利用者を介護する家族の負担を軽減するために、介護保険制度下の居宅サービスに含まれる通所介護(デイサービス)や短期入所(ショートステイ)、地域密着型サービスに含まれる認知症対応型通所介護や小規模多機能型居宅介護などの利用や、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)への入居などを検討することも賢明である(第25回に出題。第24回では事例問題として出題)。
  • ○小規模多機能型居宅介護は、利用者に住み慣れた地域や自宅で住み続けてもらうために、「通い」「訪問」「宿泊(泊まり)」のサービスを必要に応じて組み合わせ、利用者の生活を柔軟に支援する。なお、登録定員は、2015(平成27)年4月より、29人以下となった(第25回に出題)。
  • ○グループホームでは、家事に参加するなど、利用者がそれぞれの役割をもち、力を発揮するとともに、利用者同士がなじみの関係になれるように配慮する。また、家族と交流する機会も確保しながら、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、自立支援の視点で介護や日常生活上の世話を行うことを方針としている。家庭的な雰囲気によって、症状の安定も図られる(第29回に出題。第24回、32回では事例問題として出題)。
  • 認知症疾患医療センターは、認知症専門の医療機関として、詳細な診断や急性症状への対応、地域の認知症医療や地域包括支援センター、介護サービス事業所の連携強化などの役割を担う(第26回に出題)。
  • 認知症初期集中支援チームは、複数の専門職が、認知症が疑われる人や認知症の人とその家族を訪問し、家族支援等の初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活をサポートする。チーム員会議を開催してケア方針を決定する。チーム員には医師が含まれる(第33回、34回に出題)。
  • ○在職中に若年性認知症になった人とその家族に対しては、子ども世代に与える心理的な影響が大きく、介護保険制度下のサービスに加えて、雇用保険制度や障害福祉サービス等を組み合わせて利用できるように支援することが適切である。若年性認知症には、アルツハイマー型認知症も含まれ、若年性アルツハイマー型認知症では神経症状を認めることが多い。また、若年性認知症は、不安や抑うつを伴うことも多い(第26回、28回、29回、30回、34回に出題)。

 第25回、29回、31回、32回、33回、34回では、介護する家族への対応に関する事例問題が出題されました(第32回の「介護の基本」でも事例問題として出題)。また、家族介護者の会について、第26回で事例問題として出題されました。大切な存在です。第27回、31回では、認知症の人を支援する施策として、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、認知症の人やその家族を見守り、支援する認知症サポーターについて出題されました。
 次回からは、「障害の理解」という科目に入ります。


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