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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第11回 社会の理解(5)~さまざまな関連制度(法律)~

 前回は、障害者総合支援法を勉強しました。
 前回までに引き続き、今回は、介護や介護サービス、サービスの利用者などに関連する、さまざまな制度(法律)について紹介します。

生活保護法

 まず出題が想定されるのは、介護保険制度や障害者総合支援法の利用者にも関係することが多い、生活保護法です。時事問題としても注目されますね。本講座第8回の図のとおり、公的扶助というタイプの法律です。公的扶助は、その財源を国や地方自治体の一般歳入でまかない、本人等の拠出はなく、全額公費(税金)負担により給付を行います。次のポイントを押さえておきましょう。

  • ○生活保護法は、日本国憲法第25条(生存権)に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対して、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としている。生活保護で保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなくてはならない(第28回、30回に出題。第27回の「人間の尊厳と自立」では事例問題として出題)。
  • ○生活保護は、国家責任、無差別平等、最低生活保障に、資産・能力等を活用した上で保護を行う補足性を加えた4つ原理、申請保護、基準及び程度、必要即応、世帯単位の4つの原則に基づき実施される(第32回に出題)。
  • ○生活保護の種類は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類である。医療扶助と介護扶助は現物給付を原則とし、その他は、金銭給付を原則とする(第24回、34回に出題)。

 例えば生活に困窮している高齢者が、介護保険制度下のサービスを利用する際に生じる1割自己負担分を、介護扶助として給付を行うことで、自己負担無く利用できるようになります。なお、国家が国民に保障する最低限度の生活水準のことを、ナショナルミニマムといいます(第27回に出題)。

社会福祉法

 出題頻度の多いものに、社会福祉法があります。社会福祉法は、本講座第8回の図で示したように、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図るものとしており(第24回に出題)、次のような事項を規定しています。

  • ○福祉サービスの基本的理念として、利用者が心身ともに健やかに育成され、またはその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援(自立支援)するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。
  • ○福祉サービス提供の原則として、利用者の意向を十分に尊重し、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図る。
  • ○社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。
  • ○社会福祉事業の経営者は、福祉サービスの質の評価を行い、福祉サービスの質の向上に努めなければならない(第28回に出題)。
  • ○社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された法人で、設立認可は、市長、都道府県知事または厚生労働大臣が行う。事業運営の透明性を高めるために、財務諸表を公表することとされている(第27回、31回に出題)。
  • ○福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)は、民法の成年後見制度を補完するもので、都道府県社会福祉協議会が実施主体となる(事業の一部を市町村社会福祉協議会に委託可能)。認知症や知的障害、精神障害等により日常生活を営むのに支障がある者に対して、サービスの利用手続きや費用の支払い、日常生活の金銭管理などを援助する(第25回に出題。第28回の「認知症の理解」では事例的な問題として出題)。

 利用者等からの苦情の適切な解決に関して、必要な利用者には、介護保険の事業所の苦情対応の仕組みを説明して、担当者に相談するように助言することを適切とする事例問題が、第31回に出題されました。また、第26回に出題された、共同募金(「赤い羽根」をシンボルに都道府県の区域を単位として行う寄附金の募集)は、社会福祉法により制度化されたものです。

その他の制度(法律)

 介護福祉職として留意すべき法律に、2006(平成18)年度に施行された高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)があります。高齢者虐待とは、65歳以上の者に対する、養護者(家庭で養護する者)、そして養介護施設従事者等、すなわち介護福祉職による虐待行為を指し、身体的虐待、ネグレクト(養護の放棄)、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待を含んでいます(第25回、27回、33回に出題。第24回、29回では「介護の基本」、第32回では「発達と老化の理解」で出題)。
 同法は、養護者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合の市町村への通報義務(第24回、34回に事例問題として出題)、通報を受けた市町村による安全確認、事実確認のための措置、地域包括支援センター等との対応協議、高齢者の一時的保護、地域包括支援センター職員等による居所への立ち入り調査、質問などを規定しています。
 また、地域包括支援センターは、地域で高齢者の虐待防止ネットワーク構築の中心になる機関として機能しています(第27回に出題)。
 他に、成年後見制度(第27回、32回、34回に出題。第29回では事例問題として出題。第24回では「認知症の理解」で出題)や個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)、障害者虐待防止法(第26回に出題。第28回、32回では事例問題として出題。第33回では「障害の理解」で出題)などについても、テキストや過去問題集などで学習を進めた際、あせらずとらえてください。
 ここまで、「人間と社会」領域を案内してきました。
 学習、おつかれさまです。


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